日野水口有料道路

日野水口有料道路：歴史と概要

日野水口有料道路は、滋賀県蒲生郡日野町日田を起点とし、甲賀市水口町水口を終点とする、国道307号のバイパス道路でした。愛称は日野水口グリーンバイパス。1980年10月5日に開通、30年間の有料期間を経て、2010年10月5日に無料開放されました。

開通当初は、既存の国道307号と比較して約11分の走行時間短縮を実現し、水口町における大型車の通行規制緩和にも貢献しました。しかし、利用状況は計画を下回り、年々減少傾向が続きました。2001年度の実績は計画の約40%にとどまり、建設費の債務償還が困難となる事態に陥りました。

2005年には、2010年の料金徴収期間満了時点で約11億円の債務が残る見込みとされました。この状況を受け、滋賀県の包括外部監査人公認会計士は2006年3月、早期無料化を提案する監査報告書を提出。そして、2010年10月5日、日野水口有料道路は無料開放されることとなりました。

無料開放までの経緯を振り返ると、当初は交通渋滞の緩和といった期待を担って開通したものの、利用状況の低迷が、有料道路としての持続可能性を脅かしました。計画段階での利用者数の見込みと実際の利用者数の乖離が、無料化へと至る大きな要因であったと言えます。

路線データ

有料期間中は、歩行者と自転車は無料で通行可能でした。また、料金徴収時間は午前5時から午後10時までで、それ以外の時間帯は無料でした。

考察：計画と現実の乖離

日野水口有料道路のケースは、公共事業における計画と現実の乖離を示す良い例と言えるでしょう。当初の期待値と実際の利用状況の差は大きく、その結果、多額の債務を抱え、無料開放という決断に至りました。この事例は、将来的な交通需要予測の精度向上や、公共事業の採算性に関するより綿密な検討の必要性を示唆しています。

また、この道路の無料開放は、地域住民にとって利便性の向上に繋がった一方で、財政負担という問題も残しました。計画段階での詳細な交通量調査や、地域経済への影響評価など、より包括的な分析が、今後同様の事業を行う際の重要な課題となるでしょう。

関連事項

近畿地方の道路一覧
無料開放された道路一覧
* 滋賀県道路公社

この事例を通して、公共事業における計画の重要性、そして持続可能なインフラ整備のあり方について改めて考える機会を与えてくれます。

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