日韓共同宣言

日韓共同宣言：21世紀に向けた新たなパートナーシップ

1998年10月8日、日本の小渕恵三首相と韓国の金大中大統領は、「日韓共同宣言 - 21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」を発表しました。これは、1965年の日韓基本条約締結以来の両国関係を総括し、友好協力関係を再確認するとともに、未来志向の日韓関係を築くための共通の決意を示すものでした。この宣言は、単に「日韓共同宣言」とも呼ばれます。

この宣言は、両国間の幅広い分野での協力と進展を促す内容を含んでいました。しかし、その後の韓国議会による破棄決議など、その正当性や実現性には課題も残っています。

宣言の主な内容

日韓関係

2002年FIFAワールドカップの共同開催に向け、両国国民の協力を推進し、文化・スポーツ交流を活発化させる。
在日韓国人が両国間の相互交流の架け橋となる役割を果たすとの認識に基づき、その地位向上に向けた協議を継続する。
中高生交流事業の新設、政府間留学生や青少年交流プログラムの充実、1999年4月からのワーキングホリデー制度導入など、青少年交流を促進する。
韓国における日本文化開放を進める。
日韓逃亡犯罪人引渡条約締結に向けた協議を開始し、麻薬・覚醒剤対策を含む国際組織犯罪対策での協力を強化する。
首脳間会談を定期的に開催し、外相をはじめとする閣僚級協議を強化する。

経済

二国間の経済政策協議を強化し、WTO、OECD、APECなどの多国間協議における政策協調を進める。
日本による対韓国経済支援（金融、投資、技術移転など）を評価し、韓国の経済困難克服を支援する。
日本輸出入銀行による韓国への融資について基本合意を歓迎する。

漁業問題

日韓漁業協定交渉の基本合意を歓迎し、国連海洋法条約に基づいた新たな漁業秩序の下での両国関係の進展に期待する。

国際関係

国連の役割強化、特に安保理機能強化、事務局組織の効率化、財政基盤の安定化、PKO活動の強化、途上国への経済・社会開発協力を支持する。
軍縮と不拡散の重要性を強調し、特に大量破壊兵器の拡散が国際社会の平和と安全に対する脅威であるという認識を共有する。

北朝鮮問題

朝鮮半島の平和と安定には、北朝鮮が改革と開放を指向し、対話を通じて建設的な姿勢を取ることが重要であると認識を共有する。
米朝間の「合意された枠組み」およびKEDOを、北朝鮮の核計画阻止のための効果的なメカニズムとして維持する。
北朝鮮のミサイル開発が日本、韓国、北東アジア全体の平和と安全に悪影響を及ぼすという認識を共有する。
南北間の和解、不可侵、交流・協力に関する合意の履行と、四者会合の進展を期待する。

環境問題

地球環境問題への対応、特に温室効果ガス排出抑制や酸性雨対策における協力を強化するため、日韓環境政策対話を進める。

指摘された問題点

宣言には多くの進展が見られた一方で、以下のような問題点も指摘されました。

日本側は、北朝鮮による日本人拉致問題への韓国の協力を求めなかった。
在日韓国人の国籍に関する根本的な対処を議論しなかった。
日韓両方が領有権を主張する竹島（韓国名：独島）問題について、議論がなかった。
日本側は、過去の歴史に対する日本の謝罪と賠償について、韓国政府の国民への説明不足に対する要求がなかった。
韓国議会がわずか3年足らずで全会一致で破棄決議を行ったことで、宣言の正当性が損なわれた。

結論

日韓共同宣言は、両国関係の未来に向けた重要な一歩ではありましたが、その後の状況を見ると、多くの課題が未解決のまま残されていることがわかります。この宣言の精神を尊重しつつ、両国間の課題解決に向けて対話を継続することが求められています。

関連事項

韓国併合（日韓併合）
日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約

外部リンク

日韓共同宣言全文（外務省）（2022年3月9日時点のアーカイブ）
日韓基本条約全文（東京大学）
KBSニュース9（韓国語）（1998年10月8日）
MBCニュースデスク（韓国語）（1998年10月8日）

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