日高川

日高川（ひだかがわ）

日高川は和歌山県中部を流れる二級水系の本流で、全長において熊野川や紀ノ川に次いで県内では三番目の長さを持ちながら、県内の流域の中では最も長い河川です。日本一の長さを誇る二級河川であり、支流の数も約50本に上ります。水系の上流には奈良県吉野郡の一部が位置していますが、河川法に基づき和歌山県がその区間を管理しています。

地理

日高川は護摩壇山を源流としており、大きく蛇行しながら山間部を流れています。途中で椿山ダムを経由し、数多くの支流（丹生ノ川、寒川、初湯川、三十井川など）と合流し、最終的には田辺市北部や日高川町、御坊市を経て太平洋に注ぎます。この地域では、龍神温泉が近くにあり、旅館が多く立ち並んでいます。また、下流部には安珍・清姫伝説で知られる道成寺があります。

日高川の本流は中流域から川幅が広がり、流量も多くなります。その水質は非常に良好で、中下流部では鮎釣りが盛んであり、稚魚の放流や天然の鮎の遡上も見られます。特に椿山ダムより上流は清流として名高く、ホタルの生息地も点在しています。上流や支流ではアマゴなどの渓流釣りも人気です。

河口付近では、山がちな地形の和歌山県において、県内で二番目に広い日高川平野が形成され、中流域では花卉栽培が盛んに行われており、特に旧川辺町周辺ではミカンや中晩柑類の栽培が盛んです。若野地区はブランド産地としても知られています。また、大滝川や三十井川、大又谷川など中流の支流は古くから薪炭製造が行われており、近年では備長炭の主な産地となっています。

流域の自治体

日高川の流域には、和歌山県内の田辺市、日高川町、御坊市、美浜町があります。

歴史

この地域では上流部から林業が盛んであり、木材の輸送のために筏流しが行われてきました。しかし、急流で蛇行が多いため、特に夏季には大雨による水害が頻発してきました。中でも1953年7月18日に発生した水害（いわゆる7.18水害）では、289名の死者や行方不明者を出す大きな被害がありました。これに対処するため、1989年に椿山ダムが建設され、県内最大の多目的ダムとして治水対策が進められました。

トピック

かつて御坊市には日高川駅が存在していましたが、1989年に路線が廃止され、廃駅となりました。

道路

日高川沿いには多くの道路が整備されています。国道371号（最上流部）、国道425号（龍神村安井～龍神村福井）、国道424号（中上流部）、和歌山県道26号御坊美山線（中流）、和歌山県道196号たかの金屋線（中流の湾曲部）、和歌山県道192号玄子和佐線（中下流右岸）、和歌山県道193号船津和佐線（中下流左岸）などがあり、地域の交通を支えています。

以上のように、日高川は自然の美しさと地域の歴史、経済活動に深く結びついている重要な河川です。

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