旧台南地方法院

旧台南地方法院は、台湾台南市中西区に位置する国定古蹟であり、その歴史は日本統治時代にまで遡ります。この建物は、かつての台湾総督府法院に属する地方法院の2代目庁舎として建設され、第二次世界大戦後も2001年まで中華民国司法院の普通法院、台南地方法院庁舎として使用されていました。現在は修復を経て一般公開されており、その美しい建築と歴史的背景は多くの人々を魅了しています。

沿革

1896年、台湾総督府は「台湾総督府法院条例」を公布し、台湾の司法制度を三級三審制へと改めました。これにより、地方法院、覆審法院、高等法院が設置されました。当初、高等法院と覆審法院は台北にしかなく、各県には支庁としての地方法院が設置されました。初代の地方法院は、現在の旧法院から東に位置する万寿宮・県文廟一帯に建てられました。しかし、1898年には二級二審制へと変更され、地方法院は台北、台中、台南の3か所のみとなりました。

1904年以降、台中と台南の地方法院は一時的に台北の出張所扱いとなりましたが、1909年に復活しました。同時期に台南では、福安坑渓南岸の馬兵営街に新たな庁舎が建設されることになり、1912年に2代目庁舎が完成しました。この庁舎は、総督府営繕課の日本人建築家、小野木孝治（または森山松之助）によって設計されたとされています。

1915年には、台湾抗日運動の一つである西来庵事件の審理のため、この庁舎に臨時法廷が開設されました。第二次世界大戦後、台南地方法院は中華民国統治下でも使用され続け、1945年12月21日には台湾台南地方法院と改称されました。1969年には、西側の塔に亀裂が見つかったため、塔は撤去されました。1991年4月19日、この庁舎は中華民国内政部によって国家二級古蹟（現在の国定古蹟）として登録されました。2001年4月、台南地方法院は安平区に新築された3代目庁舎に移転し、旧庁舎は司法博物館として改修されました。

建築物

旧庁舎は、府前路に面した北側に東西2か所の出入口があります。東側の主入口は、8本の門柱で構成された古典的な妻側が特徴的です。柱はL字型に組まれた3本の柱と、中間の独立した円柱が2組配置され、上部にはバロック様式の屋根が円窓を伴って支えています。内部は、四隅に配された12本の主柱で支えられたロビーがあり、その他には2本の独立した柱が配置されています。西側の副入口は、主入口と比べて装飾が少なく、より簡素な造りとなっています。ロビーの上にはかつて塔がありましたが、1969年に撤去されました。屋根はマンサード屋根で、魚の鱗状の瓦が葺かれており、8つの円形の小窓（oeil de boeuf）があります。主入口と副入口の間には、方形窓と半円窓が組み合わされ、キーストーンが施されています。庇には瓶状の仮欄干が設けられ、外観に変化を与えています。

旧台南地方法院長宿舎

旧地方法院長宿舎からは、2008年に清朝時代の古文書が発見されました。万寿宮が隣接していることから、その歴史的価値が認められましたが、2016年に台南市文化資産管理処によって「暫定古蹟」に登録されたのみで、正式な登録には至っていません。

周辺

旧法院は民生緑園文化園区に位置し、孔廟文化園区にも隣接しているため、周辺には多くの古蹟が集中しています。

関連項目

台湾総督府法院
司法院
地方法院
台南地方法院
日本統治時代の台湾
西来庵事件
* 台湾古跡一覧

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