旧名古屋控訴院地方裁判所区裁判所庁舎

旧名古屋控訴院地方裁判所区[[裁判所]]庁舎：歴史と美しさが息づく建築

旧名古屋控訴院地方裁判所区[[裁判所]]庁舎は、愛知県名古屋市東区に位置する、国の重要文化財に指定された歴史的建造物です。現在は名古屋市市政資料館として、その美しい姿を保ちながら一般公開されています。この建物は、大正時代に建てられた煉瓦と鉄筋コンクリート造りの3階建てで、ネオ・バロック様式を基調とした重厚で華やかな外観が特徴です。

建設から裁判所としての役割

1922年、名古屋控訴院、名古屋地方[[裁判所]]、名古屋区[[裁判所]]を統合する合同庁舎として建設されました。戦後も名古屋高等・地方・簡易裁判所庁舎として、長らく中部地方の司法の中心を担いました。しかし、1979年に裁判所が移転すると、建物は取り壊しの危機に瀕します。しかし、市民からの保存を望む声が高まり、名古屋市が保存・修復工事を実施。名城公園内に名古屋市市政資料館として生まれ変わり、現在に至ります。全国に8つ建設された控訴院の中で、現存する庁舎は名古屋と札幌のみという貴重な存在です。

特徴的な建築様式

この建物は、赤い煉瓦と白い花崗岩のコントラストが美しい外壁、緑色の銅板葺きの屋根、黒いスレートが特徴的で、ネオ・バロック様式の華麗さを際立たせています。正面には塔屋がそびえ立ち、玄関ポーチが建物を引き締めています。内部は比較的簡素ですが、2階と3階を吹き抜けとした中央階段室は、ステンドグラスの窓や漆喰・マーブル塗りの仕上げが施されており、その意匠の美しさは特筆に値します。特に3階の会議室は、優れた意匠が評価されています。煉瓦造りとしては最末期の大規模近代建築であり、大正末期の建築の特徴をよく残しています。

歴史

1918年4月： 着工
1922年9月： 竣工、名古屋控訴院地方裁判所区[[裁判所]]庁舎として開庁
1947年5月： 裁判所法施行により、名古屋高等・地方・簡易裁判所庁舎となる
1959年9月： 伊勢湾台風で大きな被害を受け、屋根を銅板葺きに改修
1976年12月： 裁判所移転に伴い、建物取り壊し計画が浮上、保存を求める声が上がる
1979年3月： 裁判所が移転し、「旧名古屋高等・地方裁判所庁舎」と呼ばれるようになる
1984年5月： 国の重要文化財に指定
1989年10月： 名古屋市市政資料館として開館

保存・修復工事

1985年から1989年にかけて行われた保存・修復工事では、以下の点に重点が置かれました。

構造補強工事：煉瓦壁の強度を高め、耐震性を向上させるための補強が行われました。鉄筋の挿入やエポキシ樹脂の注入により、建物全体の安定性が確保されました。
復原修理工事：創建当時の姿を取り戻すため、屋根の天然スレート葺きへの復原、外観の復原、3階会議室の漆喰塗り、腰壁、シャンデリアなどの修復が行われました。
内装工事：資料館としての利用に適したように、空調設備や電気設備の改修、屋内消火栓設備やエレベーターの設置が行われました。

現在の姿：名古屋市市政資料館として

現在、この建物は名古屋市の公文書館としての役割を担う名古屋市市政資料館として利用されています。館内は以下のようになっています。

1階：資料保管のための書庫や収蔵庫、電気室、機械室が配置されています。また、かつての留置場や便所も復元されています。
2階：閲覧室、ビデオ・マイクロリーダー室、資料整理室など、公文書館としての機能が充実しています。また、集会室や喫茶室などの市民利用施設も備えています。
3階：常設展示室があり、建物に関する展示や市政に関する展示、司法に関する展示が行われています。

まとめ

旧名古屋控訴院地方裁判所区[[裁判所]]庁舎は、その美しい建築様式と歴史的価値から、多くの人々を魅了する貴重な文化遺産です。裁判所としての役割を終えた後、名古屋市の尽力によって保存され、資料館として新たな役割を担っています。この建物は、名古屋の歴史と文化を伝える重要な場所として、今後もその価値を継承していくことでしょう。

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