合同庁舎

合同庁舎とは

合同庁舎とは、日本の行政機関や裁判所などの複数の組織が、それぞれのオフィスを一つの建物に集約したものです。この集約は、国民の利便性向上、公務の効率化、土地の有効活用、そして建築費の節減を目的としています。

内部構造としては、一つの建物が一つの機関専用になっているのではなく、階ごとや区画ごとに複数の機関が利用し、それが何層にも積み重なっているような形になっています。また、同居する機関は、業務上の関連性が考慮されているのが特徴です。

中央合同庁舎

中央合同庁舎は、中央省庁が集中する霞が関地区に建設された合同庁舎群です。第二次世界大戦以前は各省庁が個別の庁舎を持っていましたが、戦後の復興・改築の際に合同庁舎方式が採用されました。

現在、8つの合同庁舎があり、それぞれ「中央合同庁舎第n号館」という名称が与えられています。

これらの庁舎の整備は国土交通省大臣官房官庁営繕部が担当し、各庁舎の維持管理は、使用する省庁が担当します。国土交通省は、それらを指導する役割を担います。

ただし、財務省、外務省、経済産業省、特許庁、防衛省は、現在も合同庁舎には入居せず、独自の庁舎を使用しています。官公庁施設の建設等に関する法律では、原則として合同での建築が求められています。

各中央合同庁舎の概要

第1号館: 農林水産省、林野庁、水産庁が入居。第一次産業関連の省庁が集まっています。
第2号館: 総務省、消防庁、国家公安委員会、警察庁、国土交通省、運輸安全委員会、海難審判所が入居。旧内務省系の機関が多く入居しています。
第3号館: 国土交通省、海上保安庁（海洋情報部を除く）、観光庁が入居。
第4号館: 内閣府、内閣法制局、消費者庁、復興庁、公害等調整委員会、農林水産政策研究所、海上保安庁海洋情報部が入居。
第5号館: 厚生労働省、環境省が入居。労働・社会福祉問題関連の機関が集まっています。別館には人事院が入居。
第6号館: 法務省、最高検察庁、東京高等検察庁、東京地方検察庁、東京区検察庁、公安調査庁、出入国在留管理庁、公正取引委員会、東京家庭裁判所、東京地方裁判所が入居。司法機関が集中していることから、「法務検察合同庁舎」とも呼ばれます。C棟は「東京家庭・簡易裁判所合同庁舎」とも。
第7号館: 文部科学省、会計検査院、金融庁などが入居。PFI方式で整備され、民間活用エリアは「霞が関コモンゲート」と呼ばれています。
第8号館: 内閣官房、内閣府（大臣官房総務課、内閣府政策統括官（防災担当））などが入居。PFI方式で整備されました。

地方合同庁舎

地方合同庁舎は、各省庁の地方支分部局を一つの庁舎に集約した建物です。多くの省庁が、都道府県庁所在地や拠点港湾都市などに地方支分部局を設けるため、合同庁舎方式が採用されています。

これらの庁舎の整備は国土交通省地方整備局営繕部が担当し、維持管理は使用する省庁が担当します。地方整備局は、それらを指導する役割を担います。

全国各地に様々な地方合同庁舎が存在します。例として、旭川合同庁舎、札幌第1合同庁舎、さいたま新都心合同庁舎、大阪中之島合同庁舎などがあります。

裁判所の合同庁舎

裁判所においても、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所、検察審査会などが合同庁舎に入居することが一般的です。ただし、司法権の独立性、中立性、廉潔性を確保するため、裁判所以外の機関との合同庁舎にはしないことが多いです。

例として、東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎、大阪高等・地方・簡易裁判所合同庁舎、名古屋高等・地方裁判所合同庁舎、広島高等・地方・簡易裁判所合同庁舎、福岡高等・地方・簡易裁判所合同庁舎などがあります。

都道府県の合同庁舎

都道府県においても、各部局の出先機関を一つの建物に集約し、「合同庁舎」や「総合庁舎」と呼ぶことがあります。最近では、出先機関自体を部局横断的な組織として統合するケースが増えており、「合同庁舎」という名称を使わない事例もあります。また、大阪府池田市や兵庫県神戸市長田区のように、市役所本庁と都道府県の出先機関を統合した庁舎を設けているところもあります。

まとめ

合同庁舎は、行政機関や裁判所が効率的に業務を遂行し、国民の利便性を向上させるために重要な役割を果たしています。中央、地方、裁判所、都道府県レベルで、様々な合同庁舎が存在し、それぞれが地域社会の運営に貢献しています。

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