旧善通寺偕行社

旧善通寺偕行社：歴史と現代が交差する重要文化財

香川県善通寺市に位置する旧善通寺偕行社は、明治36年（1903年）に旧大日本帝国陸軍第11師団の将校の社交場・集会所として建設された歴史的建造物です。創建当時の趣を残すその建物は、2001年に国の重要文化財に指定され、現在も地域住民に愛される場所として大切に保存されています。

明治時代の社交場から現代の多目的施設へ

旧善通寺偕行社は、全国に社交場として建設された旧偕行社の分室の一つです。竣工後間もなく、皇太子嘉仁親王（後の大正天皇）が香川県行啓の際に休憩所として利用されました。日露戦争の勃発時には、偕行社本館が戦傷兵の病室に転用されるなど、時代を反映した歴史を刻んできました。その後、大正天皇の皇太子時代である裕仁親王（後の昭和天皇）も、陸軍軍事大演習の際に宿泊した記録が残っています。

戦後、進駐軍によってアメリカ兵やオーストラリア兵の社交場として利用された後、様々な公共施設として活用されてきました。香川県食料事務所仲多度支所、善通寺市役所、善通寺公民館、善通寺市立郷土館など、地域社会に貢献してきた歴史を持っています。

2001年に国の重要文化財に指定されたことを契機に、保存修理工事が行われ、創建当時の姿に復元されました。現在は、結婚式場やコンサート会場、展示会会場など、多目的に利用できるようになっています。併設されたカフェ「偕行社かふぇ」では、落ち着いた雰囲気の中で食事や休憩を楽しむことができます。

建築様式と庭園

東西に長く伸びる木造平屋建ての建物は、ルネサンス様式を取り入れた外観が特徴です。正面中央には、ドリス式角柱と三角ペディメントによる車寄せポーチがあり、威厳を感じさせます。南面にはベランダがあり、そこから直接庭園に出ることができる設計となっており、建物と庭園が一体となった空間を演出しています。

アクセスと情報

旧善通寺偕行社は、JR四国土讃線善通寺駅から徒歩約5分とアクセスも良好です。駐車場も完備されているため、車での来場も容易です。公式ウェブサイトでは、利用案内や歴史的な情報などを詳しく知ることができます。

まとめ

旧善通寺偕行社は、明治時代の歴史を今に伝える貴重な建造物であり、同時に地域住民にとって身近な存在です。歴史的価値と現代的な利便性を兼ね備えたこの施設は、過去と未来をつなぐ重要な役割を担っています。訪れた際には、その歴史と建築美をじっくりと堪能し、地域の文化に触れてみてください。

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