土讃線

土讃線：四国の山々と海を繋ぐ路線

土讃線は、四国旅客鉄道（JR四国）が運営する、香川県多度津駅から高知県窪川駅までを結ぶ全長198.7kmの鉄道路線です。国鉄時代は土讃本線と呼ばれていましたが、1988年のJR四国発足と同時に現在の名称に変更されました。多度津駅から高知駅までは讃岐山脈と吉野川上流に沿って走り、高知駅から窪川駅までは土佐湾沿いの内陸部を走破する、変化に富んだ地理的特徴を持つ路線です。

複雑な運行形態と地域への貢献

土讃線の運行形態は多岐に渡ります。広域輸送では、岡山駅を始発・終着とする特急列車が中心となり、本州と四国を繋ぐ重要な役割を担っています。特に、特急「南風」は1972年の運行開始以来、半世紀に渡り四国を代表する特急として親しまれており、「アンパンマン列車」としても運行されています。一方、地域輸送では、高松方面と琴平駅を結ぶ快速列車や普通列車、高知県内完結の普通列車、土佐くろしお鉄道各線との直通列車、そして徳島線と直通するローカル列車などが運行されています。

電化区間と車両

多度津駅から琴平駅間は電化されており、電車による運行が中心です。しかし、それ以外の区間は非電化のため、特急列車や多くの普通列車には気動車が使用されています。近年は、トイレのない車両の問題も、1000形車両へのトイレ設置で改善が進んでいます。

ICOCAの利用も拡大しており、2020年3月14日からは多度津駅に加え、善通寺駅と琴平駅でもICOCAが利用可能となりました。

沿線風景と歴史的背景

土讃線は、変化に富んだ美しい自然風景の中を走ります。讃岐山脈を猪鼻トンネルで抜けると、吉野川を渡り、四国山地を横断します。大歩危、小歩危といった絶景ポイントも有名ですが、近年はトンネル化が進み、以前ほど吉野川の清流を望む区間は減っています。また、坪尻駅と新改駅ではスイッチバック方式を採用しており、列車の運行に独特の趣を加えています。高知平野に出ると、後免駅、そして高知駅へと至ります。高知駅は、桂浜や高知城などの観光拠点としての役割も担っています。

高知駅から窪川駅へ向かう区間では、国道33号と並行し、伊野町や佐川町などの地域を通り抜けます。土佐湾沿いを走る区間では、山と海とトンネルが繰り返されるダイナミックな車窓風景が楽しめます。

災害対策と路線改良

四国山地を横断する土讃線は、大雨による災害を受けやすい路線です。そのため、大歩危トンネルや大杉トンネルなど、危険箇所のトンネル化が進められてきました。特に1972年の繁藤災害を契機に、大規模な防災対策工事が行われ、線路の安全性が向上しています。

観光列車

近年は観光列車の運行も盛んであり、「四国まんなか千年ものがたり」「志国土佐 時代（トキ）の夜明けのものがたり」などの観光列車が運行され、沿線地域の観光振興にも大きく貢献しています。

歴史

土讃線の歴史は古く、多度津 - 琴平間は1889年に讃岐鉄道によって開業しました。その後、国有化を経て、段階的な延伸により、1951年に現在の窪川駅まで全通しました。1987年の国鉄分割民営化を機に、多度津 - 琴平間が電化されました。しかし、琴平駅以南の電化は現状見送られています。

まとめ

土讃線は、地域住民の生活を支えるとともに、観光資源としても重要な役割を担う、四国を代表する鉄道路線です。その歴史、運行形態、沿線風景、そして将来展望を理解することで、土讃線の魅力をより深く知ることができるでしょう。今後、130km/h運転や高速新線建設などの計画も進展することで、さらなる発展が期待されます。

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