旧国立美術館 (ベルリン)

旧国立美術館

旧国立美術館（Alte Nationalgalerie）は、ドイツのベルリンに位置し、ムゼウムスインゼル（博物館島）の一部として知られています。この美術館は、古典主義、ロマン主義、ビーダーマイヤー様式、印象派、そして初期モダニズムに至るまで、幅広い様式の絵画コレクションを所蔵することで有名です。1999年には、博物館島の他の歴史的建造物と共にユネスコの世界遺産に登録され、その重要性が認められました。

歴史的背景

旧国立美術館の創設は1815年に計画がスタートし、1830年代に入るとその動きが活発になりました。しかし、具体的な建築計画が進むまでには長い時間がかかりました。1841年、初めての具体的なプランが提出されましたが、実際の工事は長い間行われませんでした。その転機となったのは、銀行家ヨハン・ハインリヒ・ワグネルから贈られた262点の絵画でした。1861年に、美術館の設立が正式に決定され、ワグネルの作品はコレクションの基礎となりました。これらの作品は、当時ベルリン芸術アカデミーに収蔵され、「Wagenersche und Nationalgalerie」と呼ばれていました。

建築の進展

美術館の設計はプロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世のスケッチをもとに、建築家フリードリヒ・アウグスト・シュテューラーが1863年に始めましたが、計画は数回見直され、完成には多くの時間を要しました。シュテューラー自身は設計を完成させる前に亡くなり、カール・ブッセがプロジェクトを引き継ぎました。建設は1867年に開始され、1872年には外装が完成し、1876年5月22日には正式に開館を迎えました。

建築には耐火性のあるレンガと鉄が使用され、外観はザクセン＝アンハルト州のネブラで採石された砂岩が施されています。開館当初のコレクションは規模が小さく、ワグネルが寄贈した作品の他には、ドイツ人画家ペーター・フォン・コルネリウスの絵画が展示されていました。

20世紀の変革

20世紀に入ると、館長ルートヴィヒ・ユスティのもとで近現代作品の収集が進みました。しかし、ナチス政権下では近現代美術が「退廃芸術」と見なされ、多くの美術館が閉鎖されました。ユスティも1933年に解雇され、その後も館長に就任したエーベルハルト・ハンフスタエゲルも1945年に解雇されました。旧国立美術館は第二次世界大戦中に甚大な被害を受け、1969年まで修復作業が続けられました。この時期、西ベルリン側には新たにミース・ファン・デル・ローエ設計による新ナショナル・ギャラリーが完成しました。

1998年から2001年には、旧国立美術館の大規模な改修が行われ、最新の展示室が追加されています。現在は特にロマン主義作品の展示が強化されています。

所蔵作品の魅力

旧国立美術館には、ドイツロマン主義のカスパー・ダーヴィト・フリードリヒやカルル・フリードリヒ・シンケル、ビーダーマイヤー様式の作品、フランス印象派のエドゥアール・マネやクロード・モネを含む多彩な作家の作品が揃っています。特にイチ押しのコレクションには、フリードリヒの『海辺の僧侶』やメンツェルの『鉄圧延機工場』、彫刻家ヨハン・ゴットフリート・シャドウの『皇女フリーデリケの像』などが含まれます。

ここでは19世紀の彫刻や絵画において、ドイツ有数のコレクション数を誇ります。建物自体も、歴史的な価値を持ちながら、内部は時代に応じて改修が行われており、来館者に新たな体験を提供しています。

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