旧巴川

旧巴川について

旧巴川（きゅうともえがわ）は、静岡県静岡市に位置する巴川が改修工事を経て残された河道です。この旧河道は、主に静岡市管理の準用河川として扱われる能島地区の一部（約0.48km）として知られていますが、本記事では高橋町や永楽町、東大曲町地域の旧河道も含めて、その歴史的な背景や重要性について詳述します。

巴川改修工事の経緯

巴川は、明治39年（1906年）から大正3年（1914年）にかけて、巴川水害予防組合や土地改良区によって改修工事が行われました。この改修作業において、巴川の長尾川合流部から稚児橋までの約5kmが直線化されました。この結果、多くの旧河道が埋め立てられ、一部だけがその歴史を今に伝えています。それでも、能島付近や高橋町、永楽町、東大曲町には、その名残を見ることができます。

能島付近の歴史

能島付近では、旧巴川が約1.4kmにわたって大きく蛇行していた証拠が残っています。この地域は江戸時代以降、良質な粘土が豊富に採取され、さらに旧巴川を利用した水運も発展していました。そのため、「清水瓦」と呼ばれる瓦の生産が盛んでした。最盛期には、周囲に108件もの瓦屋が存在したとされています。これにより、地域経済の重要な一翼を担っていたと考えられます。

高橋町付近の状況

高橋町の南側を流れる小川（約0.38km）も、実は巴川の旧河道にあたります。この地域は元々、巴川の左岸が高橋、右岸が北脇新田という区分でしたが、改修工事によって高橋は分断され、一部が右岸に取り残されてしまったことが歴史の証です。

永楽町の旧河道

渋川橋近くの左岸、永楽町から江尻台町にかけても、約0.45kmの旧巴川が観察できます。昭和39年（1964年）には、東海道新幹線が開通する際、旧河道の上に橋梁が設けられました。当時、その西側には明確な三日月湖が存在しましたが、現在では小規模な水路と駐車場に変わっています。

湿地帯の問題

さらに、旧河道の周辺地域は大雨の際に浸水しやすい特性があり、その対策として、巴川との合流点には花の木ポンプ所が設置されています。これは、近隣住民や環境への影響を軽減するための重要な施策です。

東大曲町の変遷

平成24年（2012年）頃まで、旧清水自動車学校の裏手には小さな三日月湖が存在し、貯木場として利用されていました。しかし、その後の埋め立て作業により、平成27年（2015年）以降はその地域がホームセンターの駐車場となり、旧巴川の面影は薄れてしまいました。

まとめ

旧巴川は、静岡市の歴史的な河道としての役割を果たしてきた場所です。今の姿からはその往時の賑わいを想像することは難しいですが、地域に根付いた歴史や文化を知ることは、その重要性を再認識する手助けになります。旧巴川の痕跡を辿りながら、地域の歩みを振り返ることは、静岡市の更なる理解につながるでしょう。

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