旧武藤家別邸洋館

旧武藤家別邸洋館について

旧武藤家別邸洋館は、兵庫県神戸市垂水区に所在する西洋建築であり、別名を旧武藤山治邸や旧鐘紡舞子倶楽部とも呼ばれます。この館は、1907年に実業家であり衆議院議員でもあった武藤山治の別邸として建設されました。こちらの建物は、舞子海岸近くに位置し、特有の円形バルコニーとスレート屋根、そして下見板張りの外壁を持ち、非常に目を引くデザインです。

建築は著名な建築家、大熊喜邦によるもので、北野町にある異人館と同様のコロニアル様式が基盤となっています。特に海に向かって広がる円形ベランダが外観の大きな特徴となっています。武藤山治が亡くなった後の1937年には、鐘淵紡績に寄贈され、「鐘紡舞子倶楽部」として企業の厚生施設としての役割を果たしました。

元々の建物は洋館だけでなく、和館や撞球室（ビリヤード室）もありましたが、1995年には明石海峡大橋への道路拡幅工事のため和館と撞球室が解体されてしまいました。しかし、洋館は狩口台のきつね塚古墳の近くに移築され、過去の姿を留めています。

2007年には、建物、家具、絵画、調度品、蔵書などが寄贈されたことを受けて兵庫県が移築工事を開始。この計画では、当初の所在地に近い兵庫県立舞子公園への再設置が進められ、同時に撞球室に相当する管理棟が外観復元されつつ新たに建設されました。外装には新材が使用されていますが、建具や内装の一部には当初のものが残っています。幸運なことに、1995年の阪神・淡路大震災の際、建物は解体工事中であり、多くの重要な装飾が無傷で残されることになりました。

移築および修復が完了した後の2010年10月からは一般公開が始まります。また、2011年には国の登録有形文化財に登録され、その重要性と価値が再確認されました。

建築概要

• - 設計: 大熊喜邦（横河工務所）
• - 竣工: 1907年（明治40年）、1996年（平成8年）、および2010年（平成22年）移築竣工
• - 構造: 木造、地上2階建、下見板張り、天然スレート葺（管理棟は木造一部RC造2階建）
• - 敷地面積: 1,287平方メートル
• - 建築面積: 292.7平方メートル（洋館168平方メートル）
• - 延床面積: 422.4平方メートル

移築・修復の詳細

• - 事業主: 兵庫県神戸県民局
• - 監修: 足立裕司（神戸大学大学院）
• - 設計・監理: 財団法人建築研究協会
• - 施工者: 株式会社中島工務店
• - 工事期間: 2007年（平成19年）12月 - 2010年（平成22年）10月

建物の間取り

• - 2階: ベランダ、貴賓室、広間、書斎、ホール
• - 1階: ベランダ、食堂、広間、応接室、ホール

利用情報

• - 開館時間: 午前10時 - 午後5時（最終入館は閉館30分前まで）
• - 休館日: 月曜日（ただし、月曜日が祝日の場合は開館し、火曜日が休館）

アクセス

• - JR神戸線（山陽本線）: 舞子駅から徒歩5分
• - 山陽電車: 舞子公園駅から徒歩5分
• - 高速バス: 高速舞子バスのりば徒歩5分

このように、旧武藤家別邸洋館はその美しい建築と歴史的背景から多くの人々に愛される場所となっており、訪れる人々に貴重な文化体験を提供しています。

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