旧滝沢本陣

旧滝沢本陣：会津藩の歴史を今に伝える史跡

旧滝沢本陣は、福島県会津若松市に位置し、かつて会津藩が参勤交代の際に利用した本陣の跡地です。この場所は、江戸時代の藩政や交通を知る上で非常に重要な史跡として、国から指定を受けています。

概要

旧滝沢本陣は、若松城下から白河、そして江戸へと続く旧白河街道沿いに設けられました。特に、参勤交代の際に滝沢峠を越えるための重要な拠点として、滝沢組近郷11ヶ村の郷頭であった横山家に置かれたのです。現存する建物は1678年（延宝6年）に建てられ、以来、会津藩主が白河街道を通る際の休息所として利用されてきました。

歴代の会津藩主は、参勤交代はもちろんのこと、領内巡視や藩祖である保科正之を祀る土津神社への参詣の際にも、この本陣を休息所として利用しました。旧滝沢本陣は、会津藩にとって欠かせない施設だったのです。

戊辰戦争の舞台

旧滝沢本陣は、戊辰戦争時には会津藩の本営としても使用されました。藩主である松平容保が、白虎隊士中二番隊に対して戸ノ口原への出陣を命じた場所としても知られています。座敷には、当時の戦闘による弾痕や刀傷などが今も残されており、その激戦の様子を物語っています。

文化財としての価値

現存する本陣建物のうち、主屋と座敷は、近世に滝沢組郷頭を務めた横山家の住居として使用されていました。屋内の半分が土間となっているなど、当時の農民住宅の形式をよく残している点が評価されています。主屋は1678年の建築であり、福島県内の民家としては非常に古いものです。また、本陣座敷は19世紀初頭（文化文政期）に建て替えられたものですが、その類例の少なさから、1971年（昭和46年）に重要文化財に指定されました。

敷地と建物全体も、会津藩が参勤交代の際に使用した本陣の遺構として、江戸時代の藩政や交通を知る上で重要な役割を果たすことから、1970年（昭和45年）に国の史跡として指定されています。

所在地

福島県会津若松市一箕町大字八幡字滝沢122番地

旧滝沢本陣は、会津藩の歴史を今に伝える貴重な文化遺産です。訪れる人々は、当時の面影を残す建物や、戊辰戦争の激戦の跡を通して、歴史の息吹を感じることができるでしょう。

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