旧田中家住宅

旧田中家住宅の魅力と歴史

旧田中家住宅（きゅうたなかけじゅうたく）は、埼玉県川口市に存在する貴重な歴史的建物で、2018年に国の重要文化財に指定されました。これは川口市内で初めての重要文化財指定であり、地域の文化的な遺産を代表する存在です。

概要

田中家は古くから川口に根付いてきた名家で、当主は代々「徳兵衛」を名乗り続けてきました。初代の徳兵衛は江戸末期に農業を営んでいましたが、2代目となると1871年から麦味噌の製造や材木商としての事業も手がけ、家業を大いに成長させました。現在の住宅は、4代目の徳兵衛が建てたもので、彼は埼玉県議会議員や貴族院議員としても活動しました。

洋館は1921年に上棟され、1923年に完成しました。設計は櫻井忍夫によるもので、和風と洋風が融合した独特のデザインが魅力です。和館は1934年に建てられ、府場陽二が設計を担当しました。また、文庫蔵（旧仕込倉）は明治末に建立され、洋館、和館、文庫蔵という3棟と煉瓦塀が2006年に国の登録有形文化財に認定された後、2018年には重要文化財に指定されました。

敷地と庭園

旧田中家住宅の敷地内には、これらの建物だけでなく、茶室や滝のある日本庭園もあります。現在は川口市立文化財センターの分館として一般公開されており、多くの来訪者に歴史的な価値を提供しています。

建築様式

洋館

洋館は日光御成道に面して建っており、煉瓦造の3階建てです。西側が正面となっており、北から蔵部、主体部、台所部に分かれています。それぞれの構造が異なり、建築面積は合計174.57平方メートルにわたります。外観は化粧煉瓦が使われ、建物の角には柱形が施され、縦のラインが強調されています。屋上にはペディメントがあり、装飾として銅板が使用されています。

内部構造も魅力的で、1階には玄関、食堂、台所があり、応接室として使われる洋間が設けられています。2階には座敷や書斎が存在し、3階には大広間があります。特筆すべきは、和風と洋風のデザインが巧みに融合されている点です。

和館

和館は木造で、一部が2階建ての造りとなっています。こちらは寄棟造であり、桟瓦葺きの屋根が特徴です。建築面積は160.05平方メートルあり、1階部分は広間として使用され、間仕切りを取り払えば広大な空間が実現します。2階には和室が設けられています。

文庫蔵

文庫蔵（旧仕込倉）は平屋建ての木造で、切妻造の構造を持ち、建築面積は99.15平方メートルです。この蔵は他の建物よりも先に建てられており、その歴史が窺えます。

アクセス

旧田中家住宅のアクセスも良好です。埼玉高速鉄道の川口元郷駅から徒歩8分の距離にあり、また国際興業バスの末広1丁目停留所からも徒歩約3分で訪れることができます。

このように、旧田中家住宅は地域の歴史と文化を物語る重要な建物であり、訪れる人々にその魅力を伝えています。

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