旧豊川電話装荷線輪用櫓

旧豊川電話装荷線輪用櫓について

旧豊川電話装荷線輪用櫓は愛知県豊川市に所在する文化的に価値のある土木構造物です。この櫓は1928年に建造され、2007年には登録有形文化財に認定されました。

歴史的背景

日本で初めての公衆電話が1889年に開通しましたが、その当時は架空に設置された裸線が使用されていたため、通話距離には限界がありました。1928年には東京と神戸の間に、より長距離の通話を可能にする装荷長距離ケーブルが導入され、これに伴い全国9ヶ所に電話中継所が設置されました。豊川電話中継所はそのうちの1つで、1927年にサービスを開始しました。

構築と機能

装荷ケーブルは架空線と地下線の併用で敷設され、架空線には音声電流の減衰を防ぐために装荷線輪用櫓が建てられました。この櫓は逓信省の設計に基づき、多数が建設されました。豊川市には見附電話中継所から豊川電話中継所、名古屋電話中継所へと接続する中で、特に見附から豊川間と豊川から名古屋間は高さが64%や72%といった高い架空率を誇ります。この地域には約45か所の櫓が存在し、豊川の装荷線輪用櫓もその一つです。なお、この櫓は個人所有の形で現存しています。

21世紀以降の発展

2006年には、愛知県立豊橋工業高等学校の天野武弘教授により、この櫓の存在が中部産業遺産研究会に報告されました。そして、2007年12月5日には文化財として登録されました。また、旧豊川電話中継所もトヨテックの本社として現存し、同年に登録されています。

2014年には、愛知登文会による登録有形文化財の特別公開が行われ、この機会に旧豊川電話装荷線輪用櫓も訪れる人々に公開されました。

構造と特徴

この櫓は、もともと豊川電話中継所から伸びる装荷ケーブルの設置のために構築されたもので、その高さは約6メートルであり、中継所間は木製の電信柱で連結されています。1800メートルごとに設置され、通信のクオリティを向上させる役割を果たしました。

参考資料

• - 愛知県史 別編 文化財1 建造物・史跡（2006年）
• - 天野武弘「旧豊川電話中継所と装荷線輪用やぐら」『産業遺産研究』第13号（2006年）
• - 村瀬良太『あいちのたてもの ものづくり編』愛知県国登録有形文化財建造物所有者の会（2019年）

このように、旧豊川電話装荷線輪用櫓は単なる施設ではなく、地域の歴史を物語る重要な文化財として今も多くの人に親しまれています。

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