早坂力

早坂力：日本の機械工業発展に貢献した実業家

早坂力は、明治20年（1887年）岩手県に生まれ、昭和38年（1963年）に逝去した実業家です。東京高工（現在の東京工業大学）を卒業後、日本の機械工業の発展に多大な貢献を果たしました。

輝かしい経歴と数々の役職

早坂力の経歴は、日本の機械工業史と深く関わっています。昭和19年（1944年）には全国工作機械技術研究会会長に就任し、戦後の復興期において日本の機械工業の技術向上に尽力しました。終戦直後には、機械工業技術委員会（商工省）精密機械部会長や池貝鉄工所取締役社長として、日本の精密機械産業の基盤構築に貢献しました。

その後も、日本工作機械協会会長、商工省参与、日本製鋼所顧問、日本産業協会理事、石川島播磨重工業顧問、瑞穂金属工業取締役会長、日本兵器工業会顧問など、数々の要職を歴任しました。これらの役職を通して、日本の重工業・機械工業の高度経済成長を支える重要な役割を果たしました。

政府機関においても、その専門性を活かして活躍しました。通商産業省工業生産技術審議会委員、内閣航空技術審議会専門委員、通商産業省電子工業審議会委員など、政策決定に携わる重要な役割を担い、日本の産業政策に大きな影響を与えました。

また、早坂力は企業経営者としても成功を収めました。豊精密工業の初代社長として、企業の成長に貢献したほか、アマツール社顧問として国際的な視点も取り入れました。

功績と栄誉

早坂力の功績は高く評価され、数々の栄誉に輝きました。昭和31年（1956年）には藍綬褒章を受章し、昭和38年（1963年）には没後、従五位勲四等旭日小綬章が授与されました。国際的にもその功績が認められ、フランスのレジオンドヌール勲章を受章しています。

知識の共有と次世代への貢献

早坂力は、自身の経験や知識を惜しみなく共有しました。著書『工作機械と文明―早坂力全集』（小峰工業技術）や『文明の蔭に―欧州機械工業視察記』（日刊工業新聞社）は、日本の機械工業の発展の歴史と将来展望を考察した貴重な資料となっています。これらの著作は、後世の技術者や研究者にとって貴重な指針となり、日本の機械工業の発展に貢献し続けています。

早坂力の足跡：日本の機械工業発展の礎

早坂力の生涯は、まさに日本の機械工業発展の歴史そのものです。数々の要職を歴任し、政府機関でも活躍、そして自身の知識を後世に残す著作活動など、多方面に渡る活躍は、日本の機械工業の礎を築いたと言えるでしょう。彼の功績は、現在も日本の産業に大きな影響を与え続けています。彼の曾孫である早坂隆氏は、ノンフィクション作家として活躍しており、早坂力の生き様は、今もなお人々に語り継がれています。

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