早川東三

早川東三（はやかわ とうぞう）は、1929年2月3日に愛知県で生まれ、2017年10月15日に生涯を閉じた、日本の著名なドイツ語学者・ドイツ文学者です。学習院大学の名誉教授として長年教鞭を執り、多くの後進を育てました。彼の学術的な業績に加え、一般向けのドイツ語教育にも尽力したことで知られています。

東京大学文学部独文科を1952年に卒業後、同大学院博士課程を中退。1955年に学習院大学文学部講師として着任して以来、助教授、教授へと昇進し、1972年には43歳という若さで文学部長に就任しました。その後も、学習院大学常務理事、学習院大学言語共同研究所長、学習院評議員、学習院大学学長など、数々の要職を歴任しました。1998年には学習院女子大学学長となり、1999年に定年退職、名誉教授となりました。

学術活動においては、1983年から1985年まで日本独文学会理事長を務めたほか、1992年にはドイツ語学文学振興会の理事長として、ドイツ語技能検定試験（独検）の発足に尽力しました。その功績は国際的にも認められ、1984年にはドイツ民主共和国グリム賞とライプツィヒ大学名誉哲学博士号を、1993年にはドイツ連邦共和国功労勲章大十字功労賞を受賞しました。2005年には瑞宝中綬章を受章しています。

教育活動にも力を注ぎ、NHKラジオ・テレビのドイツ語講座の講師を17年間務めました。その分かりやすい解説は多くの人々にドイツ語学習への興味を抱かせ、ドイツ語教育の普及に大きく貢献しました。

早川東三は、数多くの著作と翻訳も残しており、その幅広い活動は多岐にわたります。

主な著書
『じゃぱん紳士 夜のエチケット教科課程』光文社、1961年
『じゃぱん紳士周遊記』光風社、1961年
『ブロークン・ドイッチュ ドイツ語知らずのドイツ旅行』白水社、1962年
『変ンな外人 じゃぱん紳士の交際術』光風社、1963年
『ドイツ語作文の入門』朝日出版社、1967年
『NHKドイツ語入門』日本放送出版協会、1968年
『ドイツ語の決まり文句』実業之日本社、1975年
『ドイツ その魅力と背景』日本放送出版協会、1978年
『ドイツ語なんかこわくない ドイツ語入門15講』学習院院長室、1992年
『ドイツ文法の入口』朝日出版社、1996年
『話し始めるドイツ文法』朝日出版社、1994年

主な共編著
『受動と時称』白水社、1961年
『デイリーコンサイス独和辞典』三省堂、1982年
『ドイツハンドブック』三省堂、1984年
『日独口語辞典』朝日出版社、1985年
『中級ドイツ文法 内容から表現へ』第三書房、1986年
『ドレーガー失踪事件 やさしい文法読本』第三書房、1989年
『統一ドイツ文法』朝日出版社、1991年
『日本人学生のためのテーメン』朝日出版社、1994年
『新コンサイス独和辞典』三省堂、1998年
『デイリーコンサイス独和・和独辞典』三省堂、2000年
『ドイツを知るための60章』明石書店、2001年
『初級者に優しい独和辞典』朝日出版社、2007年

主な翻訳
『マルコ・ポーロ』白水社、1964年
『死の艦隊』正進社、1972年
『ドイツ語基本単語2000』日本放送出版協会、1974年
『初級ドイツ語 会話と文法』日本放送出版協会、1976年
『ドイツ基本語活用辞典』第三書房、1983年

記念論文集
* 『ドイツ語統語論の諸相 早川東三先生古稀記念論集』同学社、1999年

これらの著書・翻訳は、ドイツ語学習者にとって貴重な教材であり、彼の学問的な貢献を示すものです。早川東三の業績は、日本のドイツ語教育に大きな足跡を残しており、その影響は今日まで続いています。

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