早川良一郎

早川良一郎の生涯と作品

早川良一郎（はやかわ りょういちろう、1919年3月3日 - 1991年4月26日）は、日本の著名な随筆家であり、独自の視点から日常を描いた作品で知られています。東京都の麻布区に生まれ育った早川は、東大受験のために学業を重ねましたが、最終的には計画を変えて、その後の人生に深く影響を与える留学へとつながる道を選択しました。

学生時代と留学

早川は旧制麻布小学校を卒業後、麻布中学に進学しましたが、2年目の途中で中退し、医学を学ぶためにイギリスに渡ります。しかし、語学の壁に苦しみ、思うように学問を進めることができず、その代わりにロンドン大学の聴講生として学び始めます。このとき、彼は教授の持つパイプに魅了され、以降の人生において重要なテーマともなるパイプを嗜むようになります。学業の傍らでは、ピカデリー・サーカスでの射的を楽しむという日々が続き、結局は目標に対して挫折感を抱きながら帰国を決意します。

軍隊生活と帰国

1940年、早川は日本大学の仏文科に進学後、すぐに軍隊に召集され、満州に派遣されます。ここで彼の過去の経験が活かされ、射撃大会で優勝するも、その健康状態が悪化し、内地に送還されます。終戦を迎えた後、彼は海洋少年団本部での仕事を経て、日本経済団体連合会に就職します。このサラリーマン生活は彼の後の作品に影響を与えることになります。

文筆家としての活動

50歳を過ぎた頃から、早川は彼自身が愛してやまないパイプをテーマにした随筆の執筆を始めます。1973年には自らの経済的負担で『A STUDY OF SMOKING』という私家版の随筆集を発表します。この作品は、1974年に『けむりのゆくえ』と改題され、一般にも流通することとなり、第22回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞します。その後も彼の執筆活動は続き、特に1970年代から1980年代の熟年層に強く共感を呼び起こしました。

作風とテーマ

早川の作風は、日常的なテーマを通じて、人々が共感できるような内容が特徴的です。特にパイプに関連する記述は多く、彼自身の愛好を反映した作品は、パイプ愛好家からも支持を受けることになります。随筆には、彼が青年期に過ごしたイギリス留学時代の影響が色濃く残っており、独特のダンディズムを感じさせます。

代表的な著作

彼の代表作には、以下のような作品があります：

• - 『A STUDY OF SMOKING』（1973年、私家版）
• - 『けむりのゆくえ』（1974年、改題版 1997年）
• - 『パイプ - Pipes of the World』（1978年、共著）
• - 『パイプと月給』（1979年）
• - 『さみしいネコ』（1981年）
• - 『散歩が仕事』（1982年）
• - 『むだ話、薬にまさる』（1988年）

早川良一郎は、1991年に72歳でこの世を去りましたが、彼の作品は今もなお多くの読者に愛され続けています。彼の人生と作品を通じて、私たちは日常の中に潜む小さな幸せや、情熱を感じることができます。

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