早稲田騒動

早稲田騒動について

早稲田騒動は1917年に発生した早稲田大学における学園紛争であり、その発端は学長の選びを巡る派閥闘争にありました。この騒動は単なる内部の争いにとどまらず、学生やジャーナリズムも巻き込んだ大規模な社会問題へと発展しました。

背景

早稲田大学は、政治家の大隈重信によって創設されており、彼が長い間総長を務めました。大隈は日常の運営にはあまり干渉しなかったものの、大学の経営層に自らの腹心を送り込むなど、その影響力は非常に強大でした。大学の土地も大隈家から寄贈されたものであったため、その依存度は高く、その後の大学の運営方針にも大きな影響を及ぼしました。

早稲田大学を支えた主要な人物には、高田早苗、天野為之、坪内逍遥の3人が挙げられ、彼らは「早稲田三尊」と称されていました。1907年に高田が経営責任者に留任した際、学長の座をめぐる権力闘争が始まります。1914年に大隈が首相に就任し、翌年には天野が学長になりましたが、同時に彼の権限を制限する動きもありました。

騒動の始まり

1916年、大隈と高田が辞職したことをきっかけに、天野の任期が切れる8月には再び高田が学長に復帰しようとする動きがありました。高田派が大多数を占める維持員会は彼の復帰を容認しますが、天野派はこれに強く反発しました。天野の秘書が高田の復帰を報じたことで、事態は急速に悪化し、騒動が社会的な注目を集めることとなります。

学生は天野に対して同情的であり、前学長の復帰を望む声が上がりました。一方で、高田派は集団での議論や報道を通じて自らの意見を主張し、次第に双方の対立が激化しました。天野派の活動は多くの社会団体にも支持され、次第に一つの運動として盛り上がりを見せていきました。

騒動の拡大

革新団の学生たちが結成され、高田派の行動に対して抗議の声が高まる中、両派の争いはさらに激化しました。9月には高田派に対する弾劾の演説会が開催され、1,300名の学生が集結するなど、騒動は大学内外で大きな関心を持たれることとなります。続く日々、学生による校門封鎖や抗議活動が繰り返され、騒動は収拾がつかなくなりました。

この騒動の中、多くの人々が罷免されたり辞職したりし、早稲田大学とその関係者には深刻な影響を及ぼしました。特に、天野派の動きによって多くの教授や学生が退学処分を受けたり、職を失ったりする事態が起こりました。

騒動の収拾とその後

最終的には、天野は任期満了で退任し、大学の運営を行う新たな体制が構築されました。騒動は翌年まで続き、新しい維持員会による規定改定が行われることになります。大隈の支援を受けながらも、新たな体制によって早稲田大学は再びその運営を行っていくことになります。しかし、騒動により早稲田大学を去った人々も多く、影響は長期にわたって残ることとなります。彼らは後に様々な分野で活躍し、大学の名声を高める一因ともなりました。

この騒動は大学のあり方や学問に対する自由な議論の重要性を再認識させるものであり、早稲田大学の歴史においても特筆される出来事として残っています。

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