昆明世界園芸博覧園

昆明世界園芸博覧園

昆明世界園芸博覧園（こんめいせかいえんげいはくらんえん）は、中国雲南省昆明市の北部郊外に位置する大規模な公園です。この地は、1999年10月に開催された昆明世界園芸博覧会の成功裏に閉幕した後、その会場跡地を恒久的な植物園として整備・活用したものです。現在、国際的な植物園としての機能を持つとともに、昆明市を代表する重要なランドマークおよび主要な観光地の一つとなっています。特に、その質の高さと充実した施設は高く評価されており、2016年には中国国家観光局より最高ランクである5A級観光地に認定されています。

規模と多様な施設

総面積約218ヘクタールという広大な敷地には、多様なテーマを持つ展示施設や庭園が点在しています。博覧会開催時に建設された多くのパビリオンや庭園は、現在もそのまま保存され、公園の主要な見どころとなっています。

主要な屋内施設としては、特色ある5つの展示ホールがあります。これらはそれぞれ、中国の文化や自然を紹介する「中国館」、人間と自然の共生をテーマにした「人間と自然館」、様々な気候帯の植物を展示する「温室」、園芸科学技術の進歩を示す「科学技術館」、そして国際的な園芸交流の場としての「国際館」で構成されています。

また、屋外にはテーマ別の6つの専門庭園が設けられています。

樹木の多様性を示す「樹木園」
中国の茶文化と関連植物を紹介する「茶園」
精巧な盆栽の美を堪能できる「盆栽園」
伝統的な薬草を展示する「薬草園」
風情ある竹の景観を集めた「竹園」
様々な野菜や果実を育てる「野菜と果物園」

これらの庭園は、それぞれの分野における専門的な知識と景観を提供しています。

さらに、博覧会に参加した国内外の出展者によって造成された屋外庭園も多数残されています。中国国内の各省や地方自治体がそれぞれの特色を表現した庭園が34、海外の国や国際組織が自国の園芸文化を紹介した庭園が34、そして企業が出展したユニークな展示庭園が9つあり、訪れる人々は世界各地や中国各地の多様な園芸様式を一度に見て回ることができます。これらの庭園は、当時の博覧会の熱気と国際交流の記憶を今に伝えています。

設計思想と自然との調和

昆明世界園芸博覧園の設計は、周囲の豊かな自然環境との「完全な調和」を最も重要な理念としています。公園は、背後に連なる山々、敷地内に取り込まれた水辺、そして既存の森林といった自然景観と一体となるように造形されており、「自然から生まれ、自然に戻る」という哲学が随所に反映されています。人工的な構造物と自然の要素が絶妙に融合することで、訪れる人々に安らぎと感動を与える景観が創出されています。この設計思想は、持続可能な開発や環境保護の重要性が叫ばれる現代において、特に重要な意味を持っています。

博覧会後の継続的な役割

1999年の博覧会が終了した後も、昆明世界園芸博覧園はその役割を終えることなく、活動を継続しています。現在も、中国国内の様々な省や地方自治体、さらには世界各国から集められた優れた園芸作品やガーデニング技術の展示、そして大規模な植物コレクションの維持・管理の中心となっています。年間を通じて様々なイベントや展示が開催され、園芸文化の普及・発展に貢献するとともに、教育、研究、レクリエーションの場として多くの人々に利用されています。

このように、昆明世界園芸博覧園は、過去の輝かしい国際博覧会の遺産を継承しつつ、現在も進化し続ける生きた植物園であり、中国雲南省の魅力を世界に発信する重要な拠点となっています。広大な敷地を巡りながら、多様な植物と庭園芸術、そして自然との調和を感じられる場所として、国内外から多くの観光客が訪れています。

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