明徳の乱

明徳の乱（めいとくのらん）

明徳の乱は、南北朝時代の1392年に、山名氏の山名氏清と山名満幸が室町幕府に対して起こした重要な反乱です。この事件は内野合戦とも呼ばれ、幕府の権力強化や大名間の複雑な関係を浮き彫りにしました。

背景

山名氏は新田氏に起源を持ち、鎌倉幕府に仕えていた足利尊氏に従ったことから出発しました。南北朝時代には、山名氏は足利氏に味方し、特に観応の擾乱では、尊氏の弟である足利直義の側につきました。しかし、その後再び南朝に味方し一時は京都を占領するほどの勢力を得ました。時氏が死んだ後も、山名氏はその勢力を拡大し、11の国で守護を持つ「六分一殿」と称されました。

将軍権力の強化

幕府の将軍は守護大名連合の上に成り立っていましたが、その権力は非常に脆弱でした。3代将軍の足利義満は、権力強化のため、諸大名を分裂させたり、直轄軍を増強する施策を講じました。特に、美濃や尾張などに広がる土岐氏を挑発して分裂を引き起こし、康行を討伐したことで権力を広げました。そして、山名氏も彼の次のターゲットとなります。

山名氏の内紛

山名師義の死後、彼の息子たちは若年であったため、末弟の時義が惣領を引き受けましたが、これに不満を抱く氏清とその婿の満幸が対立を深めたことで家族内にも不和が生じました。結局、時義の死去後、義幸、氏之、満幸の間で領土が争われ、山名家は内紛の渦中に巻き込まれることとなります。義満はこの状況を利用し、満幸と氏清に討伐を命じたことで、さらなる抗争が引き起こされます。

山名氏との対決

義満は氏清と満幸の台頭を警戒し、両者が政権を脅かす存在になることを防ぐために、巧妙な挑発を行いました。この時、逃亡していた時熙と氏之が京都に潜伏し、義満に赦免を求めたことから、氏清と満幸は不安を感じ、共に挙兵を決意します。彼らは南朝に降伏し、幕府に対する謀反を示すこととなります。

内野合戦

山名軍は京へ侵攻するも、幕府軍がそれに対抗する形で戦闘が始まります。両軍は内野で激突し、予期しない厳しい戦闘が繰り広げられます。山名軍は内部分裂と連携を欠いた状態で挑んできたため、圧倒的な戦力を持つ幕府軍に次々と撃退され、最終的に敗北を喫しました。戦後、山名氏はその領地を大きく減少させ、幕府の権力は一層強化される結果となります。

戦後の影響

明徳の乱後、山名氏はその影響を大いに受け、守護領国は僅か3か国へと減少しました。義満は将軍権力を確立し、さらなる大名の脅威を排除すべく政略を尽くしていきます。また、この乱を記した『明徳記』は、当時の詳細を伝える重要な資料とされています。

このように、明徳の乱は幕府と大名間の複雑な権力構造を反映しており、その後の室町時代の政治に大きな影響を与えることになります。

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