明徳義塾対横浜 (第80回全国高等学校野球選手権大会準決勝)

明徳義塾対横浜（第80回全国高等学校野球選手権大会準決勝）

1998年8月21日、阪神甲子園球場で行われた第80回全国高等学校野球選手権大会の準決勝では、高知代表の明徳義塾と東神奈川代表の横浜が対戦しました。この試合は、前日のPL学園との準々決勝で延長17回の熱戦を繰り広げた横浜にとっては、非常にタフな状況での対決でした。

松坂の登板回避

横浜高校のエース、松坂大輔はこの準々決勝での激闘の疲労から、準決勝では先発しない決断をしました。試合後のインタビューでも、彼は「明日は投げません」と明言しており、その代わりに2年生投手の袴塚健次と斉藤弘樹がマウンドに上がることとなりました。明徳義塾にとってはこれは好機であり、勝利を確実にするための大きなチャンスでした。

明徳義塾の先行

一方、明徳義塾は準々決勝で関西大学第一高校を圧倒した勢いを維持しており、横浜との一戦に向けて士気も高まっていました。この試合では、明徳義塾の先頭打者・藤本敏也が出塁するなど、その強力な打線が早速活かされます。横浜の投手陣は明徳義塾の攻撃を抑えきれず、袴塚は4回2/3で10被安打、4失点という結果に。

横浜の反撃

試合は進み、8回表が終了した時点で、明徳義塾が6-0でリードしていました。その時、横浜の監督である渡辺元智は選手たちに「残りの2イニングでひっくり返すのは難しい。思い切り甲子園を楽しめ」と告げます。この鼓舞の言葉が、横浜の選手たちに火をつけました。

8回裏、横浜は失策を活かし始め、後藤と松坂が適時打を放ち、2点を奪いました。この流れに乗り、横浜は暴投や代打の適時打でさらに点を重ね、8回裏だけで一挙4点を獲得するという驚異的な逆襲を見せました。

大逆転劇

9回表には、ついに松坂が登板。この際、彼は最高146km/hを記録しながらも、明徳義塾を3人で退けます。松坂の完璧な投球は、チームにさらなる勢いを与えました。

9回裏、横浜は続けてヒットやエラーを重ねて無死満塁の絶好機を迎えます。ここで後藤がタイムリーを放ち、同点に追いつきます。その後、松坂が送りバントで進塁させ、1死満塁の場面に。明徳義塾は投手を再度交代し、寺本をマウンドに上げますが、次の打者・柴の打球が二塁手のグラブを超えてセンターへ。走者が生還し、横浜はサヨナラ勝利を収めました。

試合が終了した瞬間、明徳義塾の選手たちはその場に倒れ込むほどの衝撃を受け、その後の整列挨拶では松坂が寺本に「必ず明日は勝つ」と声をかける場面も。これが、伝説の試合として語り継がれる所以です。

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