明日なき暴走

『明日なき暴走』（原題：Born to Run）は、ブルース・スプリングスティーンが1975年に発表した3枚目のアルバムであり、彼の音楽キャリアにおける重要な転換点となりました。

制作の背景

スプリングスティーンは、このアルバムで「ボブ・ディランのような詩、フィル・スペクターのような音作り、デュアン・エディのようなギター、ロイ・オービソンのような歌唱」を目指し、自身の音楽性を追求しました。その結果、ロックンロールの伝統を踏まえつつも、独自のサウンドを確立することに成功しました。

レコーディングは、「明日なき暴走」のみニューヨーク州ブロベルトの914サウンド・スタジオで行われ、その他の曲はニューヨークのレコード・プラント・スタジオで行われました。この2つのスタジオを使い分けることで、楽曲ごとに最適な音響効果を追求したと考えられます。「ジャングルランド」の編曲はチャーリー・カレロが担当し、壮大でドラマチックな雰囲気を演出しました。ジャケットの写真はエリック・メオラ（Eric Meola）が撮影し、スプリングスティーンの若々しいエネルギーと都会的な孤独を捉えています。

音楽的な特徴

『明日なき暴走』は、ロックンロール、R&B、ソウルなどの要素を融合させた、スプリングスティーンならではのサウンドが特徴です。歌詞は、アメリカの若者の苦悩や希望、夢を描いたものが多く、聴く人の心を強く揺さぶります。

商業的な成功

このアルバムは、自身初の全米トップ10入り（ビルボード誌のアルバム・チャートで3位）を果たし、スプリングスティーンは一躍スターダムにのし上がりました。また、『ローリング・ストーン』誌が選んだ「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」（2020年版）において21位にランクインするなど、批評家からも高い評価を受けています。

収録曲

Side 1
1. 涙のサンダーロード - Thunder Road - 4:49
2. 凍てついた十番街 - Tenth Avenue Freeze-Out - 3:11
3. 夜に叫ぶ - Night - 3:01
4. 裏通り - Backstreets - 6:31

Side 2
1. 明日なき暴走 - Born to Run - 4:30
2. 彼女でなけりゃ - She's the One - 4:30
3. ミーティング・アクロス・ザ・リバー - Meeting Across the River - 3:18
4. ジャングルランド - Jungleland - 9:36

全曲ブルース・スプリングスティーン作詞・作曲。

まとめ

『明日なき暴走』は、ブルース・スプリングスティーンの代表作であると同時に、ロック史に残る傑作として、多くの人々に愛され続けています。

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