明星検車区

近畿日本鉄道が運営する車両基地の一つに、明星検車区（みょうじょうけんしゃく）があります。この施設は三重県多気郡明和町明星に位置しており、近鉄山田線の明星駅の北側に隣接しています。電報略号は「メセ」が使用されています。

この検車区は、大阪、京都、名古屋といった主要都市圏と伊勢志摩地域を結ぶ特急列車の運行において、極めて重要な役割を担っています。多くの特急列車がここで折り返し、夜間には多数の車両が留置されています。所属車両数は2022年4月1日時点で306両に上ります。

歴史を遡ると、明星検車区は1930年に開設されました。これは、旧参宮急行電鉄が松阪駅から外宮前駅（現在の宮町駅）まで路線を開業した際に設けられたものです。初代の区長は影山光一氏が務めました。その後、施設の呼称については変遷があり、1982年以降は組織としての名称を「明星検車区」、場所としての施設を「明星車庫」と区別して呼ぶのが一般的となっています。配下には、この明星車庫に加え、白塚駅に隣接する白塚車庫があります。白塚車庫は、かつての白塚検車区が2003年5月に統合されたものです。

所属車両の特徴

明星検車区には、特急車両、一般車両、団体専用車両、そして事業用車両など、多岐にわたる形式の車両が配置されています。この車両基地は、名古屋線と大阪線の双方で運用される車両を補完する機能を持ち合わせているため、所属する特急車や団体専用車の一部、および一般車両の一部が大阪線でも運用される機会があります。特に、一般車両の4両編成は全ての編成にトイレ設備が設けられており、大阪線の新青山トンネルを通過する長距離の急行系列車にも充当されています。また、一般車両のうち2両編成の全てと、3両編成の一部については、名古屋線系統でのワンマン運転に対応できるようになっています。

2020年4月1日現在の主な配置車両

特急・団体専用車両
12200系の一部（特定の編成）
12400系「サニーカー」
12410系「サニーカー」
12600系「サニーカー」
22000系「ACE」の一部（特定の編成）
22600系「Ace」2両編成の一部（特定の編成）
30000系「ビスタカー」の一部（特定の編成）
15200系「新あおぞらII」の一部（特定の編成）
2013系「つどい」
一般車両
1000系の3両編成
1010系（ワンマン対応編成含む）
1200系（ワンマン対応の1201系）
1230系のワンマン対応車（1240系、1259系含む）
1437系のワンマン対応車（1440系）
2050系
2430系の一部（ワンマン対応の2444系含む）
2610系のロングシート化改造編成
2800系の3両編成
5200系の大阪線運用編成（特定の編成）
事業用車両
モワ24系「はかるくん」

過去に配置されていた主な車両

特急・団体専用車両
11400系の一部
12000系の一部
18200系「あおぞらII」の一部
18400系「あおぞらII」増結用（2013年11月まで在籍した18409Fなど）
30000系「ビスタカー」の一部（現在は西大寺検車区に配置されている編成）
一般車両
1000系の一部（トイレ付きの制御車・付随車）
1220系の一部
1480系の一部
1600系
1810系の2両編成
9000系のワンマン対応編成（2017年まで在籍）

明星検車区は、近畿日本鉄道の広範なネットワークを支える重要な拠点の一つであり、特に伊勢志摩方面への列車運行において中心的な役割を果たしています。近鉄には他にも五位堂検修車庫、塩浜検修車庫など、各地に車両の保守・管理を行う重要な施設が存在します。

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