明治大学情報コミュニケーション学部・大学院情報コミュニケーション研究科

明治大学に設置されている情報コミュニケーション学部および大学院情報コミュニケーション研究科は、現代社会を深く理解するために不可欠な「情報」と「コミュニケーション」を基軸とした教育研究を行う機関です。この学問領域は比較的新しく、その捉え方は多様ですが、明治大学では独自の視点からこの分野を探求しています。

情報コミュニケーション学部は、社会を情報とコミュニケーションという視点から多角的に考察することを目的としています。教養学部がリベラル・アーツや文理融合を志向するのに対し、本学部は主に社会科学的なアプローチを重視しますが、大学自身はこれを「社会、人文、自然の諸科学を超える新しい学問領域」と位置づけ、既存の枠を超えた探求を奨励しています。また、学外向けの生涯学習施設「リバティアカデミー」との連携も深く、学部所属教員がアカデミー長を務めるなど、密接な関係が見られます。

本学部の特徴の一つに、ジェンダー研究への強い注力があります。これは、専門部女子部、明治女子専門学校、明治大学短期大学といった女性教育の歴史を受け継ぐ経緯によるもので、男女共同参画社会の推進や女性のキャリア形成といった課題に重点を置いています。学部内に設けられたジェンダー・センターを中心に、男女の性差による差別解消や、ジェンダー・セクシュアリティに縛られない公正な社会の実現に向けた双方向コミュニケーションのあり方を追求することは、情報コミュニケーション学の重要な課題と位置づけられています。

組織としては、情報コミュニケーション学科のみの1学部1学科構成です。かつてはコース制が導入されていましたが、2017年に廃止されました。現在は、1年次から少人数制のゼミナール教育に力を入れており、学生が主体的に学びを深めるためのきめ細やかな指導体制を整えています。

大学院情報コミュニケーション研究科は、情報コミュニケーション学専攻を擁し、博士前期課程および博士後期課程を設置しています。複雑化する現代社会の諸問題を、既存の専門分野に留まらず、学際的かつ複数の領域を横断する視点から深く分析・定式化し、社会に有効な提言を行える実務家や研究者を育成することを目指しています。博士前期課程では、一般入試に加え、学内選考、外国人留学生、社会人、3年早期卒業予定者など、多様な背景を持つ学生を対象とした入学試験を実施しています。

本学部は、短期大学の改組への対応を含め、2000年代初頭から設置準備が進められました。2003年に文部科学省の認可を得て、短期大学の流れを引き継ぎ、2004年4月に開設されました。その後、2008年4月には大学院情報コミュニケーション研究科が、2010年3月には情報コミュニケーション学部ジェンダー・センターがそれぞれ開設され、教育研究体制が拡充されてきました。

学部生は、1・2年次を杉並区の和泉キャンパスで、3・4年次を千代田区の駿河台キャンパスで過ごします。学生の間では、進級後に和泉キャンパスの科目を再履修することを「和泉返し」、留年することを「和泉止まり」と呼ぶ俗称があります。

「情報コミュニケーション」という名称を含む組織は、他の教育機関にも見られます。過去には筑波学院大学に同名の学部がありましたが改組され、現在も実践女子大学短期大学部や神戸大学大学院などにこの名称を含むコースや研究室が存在します。しかし、「情報コミュニケーション学部」として単独で設置されているのは、現在のところ明治大学のみとなっています。

もう一度検索