研究科

研究科（けんきゅうか）について

研究科とは、専門的な分野を基盤とした大学院における教育研究の基本組織です。言わば、大学の学部に相当すると考えられるこの体系は、主に学校教育法に則り構成されています。特に日本では、大学院に研究科を設けることが一般的であり、より良い教育と研究を目的としています。

日本の研究科の特徴

学校教育法（昭和22年法律第26号）の第百条に基づき、日本の大学院には、教育研究上の目的を踏まえた研究科を設けることが通常とされています。また、教育研究において特に必要がなければ、単独の専攻を一つだけ設けることも許容されています。このような柔軟な設計により、研究科は更に細分化された複数の専攻を持つことが多いですが、最近では法科大学院や会計大学院、経営大学院など、新たな形態の独立研究科も登場しています。

独立研究科の存在

日本においては、大学院の研究科は、大部分が学部に基づいて設立されます。しかし、学部に基づかない独立した研究科も存在します。これを独立研究科と称され、東京大学の新領域創成科学研究科や京都大学の情報学研究科などがその好例です。近年では、大学院にのみ設立される大学も増えてきており、こういった大学は「大学院大学」と呼ばれています。

研究科に代わる新体系

1999年5月、学校教育法第66条の改正により、大学院には研究科以外の教育研究の基本組織を設けることが可能となりました。これにより、東京大学の大学院情報学環や、九州大学での研究院・学府への改組が実施され、大学院のあり方が大きく変わる契機となりました。今や、さまざまな大学で独自の教育体系や研究部を持っているケースが見られます。

各大学院の組織

横浜国立大学大学院では、理工学府や国際社会科学府、都市イノベーション学府など、多様な専攻が存在し、山梨大学大学院では医工農学の分野が加わりました。また、千葉大学大学院や東京工業大学大学院も、各自の特性を活かした研究院を設置し、独自の教育プロセスを構築しています。筑波大学では、大学院の組織を3つの学術院に改組し、多様な研究プログラムを展開しています。九州大学大学院や北海道大学大学院も、各種の学府と研究院を設置し、充実した研究環境を整備しています。

日本以外の研究科

特に注目すべきは、日本以外の国々における「研究科」の概念です。たとえば英語圏では、graduate schoolやdepartment、facultyなど様々な用語が用いられ、日本語の「研究科」に相当する訳語は一意に定まっていません。また、イギリスやドイツでは大学院が学部と統合された組織を形成するため、独立した研究科は希少であるとされています。

まとめ

このように研究科は、日本の大学院の基幹組織として、専門の教育研究を支える重要な役割を果たしています。また、教育の多様性や独立性の確立が進む中で、今後もその形態や機能は進化していくことでしょう。

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