明治大正昭和 猟奇女犯罪史

映画『明治大正昭和 猟奇女犯罪史』

『明治大正昭和 猟奇女犯罪史』は、1969年に公開された日本映画で、実際に起こった猟奇事件を基にしたオムニバス形式の作品です。監督は石井輝男、主演には吉田輝雄が務めています。ジャンルはR-18に指定され、当時の成人映画として話題となりました。

概要

本作は、解剖医の村瀬（吉田輝雄）がナレーターとして登場し、彼を通じて「東洋閣事件」「阿部定事件」「象徴切り事件」「小平事件」「高橋お伝」の物語が展開されます。特に特筆すべきは、63歳の阿部定本人が登場し、吉田輝雄からのインタビューを受けるシーンです。映画の設定では、明治、大正、昭和の三時代がタイトルに含まれていますが、一部の事件は明治や昭和時代のもので、大正時代の事件は扱われていません。制作は明治100年記念式典の直後に行われ、カラー映画であるものの、小平事件に関する部分はモノクロで撮影されています。

監督とスタッフ

この映画の監督・脚本を手がけた石井輝男は、刺激的な内容を前面に押し出した作品を数多く制作してきました。映画は東映京都撮影所で製作され、岡田茂がプロデュースしたこともあり、当時の社会状況に応じた強度の暴力描写が話題を呼びました。製作の意図としては「猟奇と真実を通して、人間の本性を追及する」とされており、内容のショッキングさは、観客に深い印象を与えるものとなっています。

キャスト

映画に登場するキャストの中には、村瀬役の吉田輝雄だけでなく、各事件の重要な人物も特別出演で登場します。阿部定を演じたのは賀川雪絵で、彼女とのエピソードも話題となりました。阿部定は、製作会見に出席し、彼女の過去を振り返る姿が記憶に残ります。映画制作時、阿部定本人がどのように作品に向かい合ったかについても、製作陣による説明があり、視聴者にとっても興味深い要素となっています。

企画と背景

本作が公開される約一年以上前から企画が進行しており、当時の映画業界の潮流を反映したものでした。当初、異なる設定で「妖婦百人」というタイトルの映画も考えられていたが、最終的には現在の作品へとつながったとされています。阿部定事件やその他の事件が映画化されたことで、実録的な側面が強調されました。

評価と影響

本作『明治大正昭和 猟奇女犯罪史』は、後の映像作品やドキュメンタリーなどに多大な影響を与えたとされており、さらに1970年代以降の東映実録路線を切り開くきっかけともなりました。ヒット作としての位置付けを確立し、後のシリーズ化のきっかけにもなりました。製作希望が続いたことからも、本作が持つ文化的価値や影響の大きさがうかがえます。

結論

この映画は、実在した猟奇事件をテーマにしながらも、時代背景や人間の心理が絡む複雑な物語を描いています。映画を通じて、観客は人間の本性や社会の闇に触れる機会を得ることができるでしょう。

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