明治神宮競技大会サッカー競技

明治神宮競技大会におけるサッカー競技の歴史

本稿では、1924年度から1942年度にかけて開催された明治神宮競技大会におけるサッカー競技、すなわちア式蹴球に焦点を当て、その歴史や変遷を詳しく見ていきます。明治神宮競技大会は、内務省が主催する日本の総合競技大会であり、当初から日本蹴球協会（JFA）が関与していました。

大会の開始と目的

1924年度に始まった明治神宮競技大会は、国内最上級の競技大会として位置づけられ、JFAはこの大会を全日本選手権の決勝大会と併催することに決定しました。この決定には、日本のサッカーのすべての頂点を意味する大会でなければならないという意義が込められていました。

大会の運営と混乱

初期の大会はJFAにより運営され、情勢に応じて進行しました。特に1926年度の第3回大会では、文部省が学生の参加を認めないという決定を行い、結果的に全日本選手権と明治神宮大会は別々のイベントに分離されました。この混乱は、翌年の全日本選手権が大正天皇の崩御により中止される事態を招きましたが、1927年度の第4回大会からは学生の参加も再び認められ、運営が元に戻されました。

大会の形態の変化

明治神宮大会の開催ペースは、1927年度以降隔年となり、偶数年には全日本選手権が単独開催される形を取ることになりました。1935年には新たに全日本総合選手権大会というトーナメントが始まり、全国規模の大会が併存する状況になりました。この背景には、サッカーの人気の高まりがありました。

この時期、明治神宮大会の優勝チームには従来のFA杯が授与され、全日本総合選手権大会の勝者にはJFA杯が授与される形が定着しました。このように、サッカー大会は流動的に進化を続け、特に1937年度の第9回大会からは明治神宮選手権大会として実施されるようになりました。

厚生省への移管と新たな形

1939年度には、大会の主催が厚生省に移され、サッカー競技は国民体育大会の一部に位置づけられるようになりました。この変更に伴い、一般部門、師範学校、中等学校のトーナメント形式が導入され、地域の特性を生かした大会運営が行われました。

第10回大会では、神戸一中と広島師範のエキシビションマッチが行われるなど、新たなイベントも展開され、選手たちはトレーニングを共にしながら技術の向上に努めました。

紀元2600年奉祝大会と優勝権の問題

1940年度には紀元2600年奉祝記念として通常は開催されない年度でも大会が行われ、さらに1941年度には一般部門の参加チーム要件が変更され、企業単位での参加が求められました。平壌日穀が優勝を果たしましたが、観客の過熱によって試合終了後の混乱が生じ、最終的にはその優勝権が返上される事態となりました。このように、大会は単なるスポーツイベントにとどまらず、様々な社会的問題を反映する場でもありました。

最後の大会とその後

1942年度には大会名を明治神宮国民錬成大会に改めて開催され、第二次世界大戦の影響を受ける中で、歴史的な役割を果たしたことが伺えます。サッカー競技はこの期間、多くの進化と変革を経て、現在の日本サッカーの基盤を形成する重要なイベントとして位置づけられるようになりました。

明治神宮競技大会は、サッカーが日本においていかに発展してきたか、その背景や社会的な側面を考える上で欠かせない歴史的なイベントです。

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