星の子

星の子

今村夏子による長編小説『星の子』は、信仰によって歪んでいく家族の姿を、少女の視点から繊細に描き出した作品です。

あらすじ

主人公である中学3年生の林ちひろは、幼少の頃から病弱でした。娘を救いたい一心で、両親は新興宗教に傾倒していきます。信仰は次第に家族の形を歪めていき、ちひろは複雑な思いを抱えながら成長していきます。

登場人物

林ちひろ
本作の主人公。病弱な少女。
林まさみ
ちひろの姉。ちひろが小学5年生の時に家を出ます。

作品の魅力

『星の子』の魅力は、何と言ってもその独特な視点です。新興宗教に傾倒していく両親を、ちひろは批判的に捉えるのではなく、どこか客観的に、そして優しく見つめています。彼女の純粋な眼差しを通して、信仰の持つ危うさや、家族の繋がり、そして人間の弱さが浮き彫りになっていきます。

物語は、ちひろの日常を丁寧に描写することで、読者を彼女の世界へと引き込みます。学校での人間関係、家庭での出来事、そして信仰との関わり。それらは全て、ちひろの成長と心の変化を映し出す鏡となります。

書評

鴻巣由季子は本作について、「ものを知っている人のほうが、知らない人より賢い。一般的にはそう考えられている。ところが、「知らざる人の目」を通してくっきり見えてくるものがある。知らない、見えない、わからないというのは、知った、見えた、わかった後からすると、二度と取り戻せない「力」でもあるのではないか」と評しています。

映画化

2020年には大森立嗣監督、芦田愛菜主演で映画化もされました。難しい役どころを見事に演じきった芦田愛菜の演技は高く評価され、原作の持つテーマをより深く掘り下げています。 原作者を読んで髪を切る提案を自らした。

キャスト

林ちひろ - 芦田愛菜
南先生 - 岡田将生
雄三おじさん - 大友康平
海路さん - 高良健吾
昇子さん - 黒木華

スタッフ

原作：今村夏子
監督・脚本：大森立嗣
音楽：世武裕子

受賞

第30回日[[本映画批評家大賞]] 作品賞
第42回ヨコハマ[[映画祭]] 助演女優賞（蒔田彩珠）
第94回キネマ旬報ベスト・テン 助演男優賞（宇野祥平）

書誌情報

単行本：星の子（朝日新聞出版、2017年6月7日発売、ISBN 978-4-02-251474-5）
文庫本：星の子（朝日文庫、2019年12月6日発売、ISBN 978-4-02-264940-9）

関連情報

[映画]]公式サイト：[芦田愛菜主演、映画『星の子』公式サイト
* 書籍情報：朝日新聞出版 最新刊行物：書籍：星の子

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