星乃珈琲店

星乃珈琲店について

「星乃珈琲店」は、ドトール・日レスホールディングスが運営する日本の喫茶店チェーンです。2011年にサービスを開始して以来、フルサービス型のカフェスタイルを特徴とし、国内に広く店舗を展開しています。

設立とネットワーク

星乃珈琲店は、2007年のドトールコーヒーと日本レストランシステムの経営統合を機に、新たなフルサービス型カフェとして計画され、2011年に誕生しました。同年3月に埼玉県蕨市に第一号店がオープン。当初はグループ内の既存不採算店舗を改装する形で店舗数を増やしてきた背景があり、都市部の駅近や商業施設から、郊外の幹線道路沿いまで、多岐にわたる立地に出店しています。2024年2月末時点で、全国におよそ277店舗を構えるチェーンへと成長しました。

サービスと空間の質

星乃珈琲店の提供するサービスは、客席でのオーダーや配膳を行うフルサービス形式が基本です。価格帯は、コーヒー一杯がおよそ600円程度と設定されており、推定客単価は約950円と、他のセルフサービス型カフェチェーンと比較して高めの価格設定となっています。これは、コメダ珈琲店のような他のフルサービス型喫茶店と同様の市場位置付けです。この価格設定に対し、顧客は店内の高級感あふれる雰囲気や、落ち着いてゆったりと過ごせる空間に価値を見出しています。木材を多用した内装や、柔らかな照明、座り心地の良い椅子などが、リラックスできる特別な時間を提供し、特に時間的余裕のあるシニア層を中心に幅広い年代に支持されています。以前は提供していなかった店内フリーWi-Fiについても、顧客ニーズに応える形で、2024年9月より一部店舗での導入が始まりました。

人気メニューの数々

星乃珈琲店のメニューの中心は、こだわりのコーヒーと、喫茶店らしい魅力的な食事やデザートです。看板のブレンドコーヒーには、「星乃ブレンド」「彦星ブレンド」「織姫ブレンド」といった独自の名前が付けられています。中でも高い人気を誇るのが「窯焼きスフレパンケーキ」です。オーダーを受けてから専用のオーブンでじっくりと焼き上げることで生まれる、ふわふわとした独特の食感が特徴です。定番のプレーンタイプのほか、季節ごとに旬のフルーツ（イチゴや栗など）を贅沢に使った期間限定のパンケーキも提供され、多くのリピーターを惹きつけています。食事メニューでは、「星乃ビーフカレー」や「窯焼きふわふわスフレドリア」などが定番の人気商品となっており、その他にもスパゲッティやフレンチトーストなど、喫茶店の定番メニューも充実しています。

デザインへのこだわりと評価

星乃珈琲店は、単に飲食を提供する場としてだけでなく、空間そのものを商品価値として捉え、店舗デザインに力を入れています。それぞれの店舗がその土地の歴史や建物の特性を活かした個性的なデザインを採用することが多く、その質の高さは専門家からも高い評価を得ています。

代表的な例として挙げられるのが、茨城県水戸市の茨城県立図書館内に設けられた店舗です。この場所は、かつて茨城県議会議事堂として利用されていた歴史的建造物を改修したものです。店舗は、旧議事堂の重厚な雰囲気を活かし、入口の広間から階段を中心に左右対称に広がる荘厳な空間が特徴です。ここでは、図書館が所蔵する貸し出し前の書籍を店内で自由に閲覧できるという、全国的に見ても珍しいサービスを提供しています。この取り組みは、カフェを図書館の新たな活用促進と地域交流の場として位置づけるものであり、単なる飲食スペースを超えた価値創造が評価され、「日本空間デザイン賞2024」を受賞しています。

他にも、神奈川県横浜市の美しが丘店は、木材をふんだんに使用した暖かみのある空間デザインが評価され、2022年度の「ウッドデザイン賞」を受賞するなど、星乃珈琲店の店舗デザインは多方面で高い評価を受けています。これらの受賞歴は、星乃珈琲店が空間演出にも注力している証と言えるでしょう。

まとめ

星乃珈琲店は、ドトール・日レスホールディングスが展開する、フルサービスと質の高い空間体験を追求する喫茶店チェーンです。高価格帯ながらも、落ち着いた雰囲気、こだわりのメニュー、そして地域や建物の特性を活かした個性的な店舗デザインにより、幅広い顧客層に支持されています。単なる休憩場所ではなく、ゆったりと過ごせる特別な空間を提供することで、日本の喫茶店文化の中で独自の存在感を放っています。

もう一度検索