星虫

星虫

岩本隆雄によるジュブナイル小説『星虫』は、第1回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作であり、少年少女と宇宙から飛来した生命体「星虫」との交流を描いた物語です。

あらすじ

物語の舞台は、地球外生命体の存在が確認された近未来の日本。宇宙飛行士を目指す少女、友美は日々のトレーニングに励んでいます。そんなある日、謎の生命体「星虫」が宇宙から飛来し、人々の額に吸着します。星虫は身体能力を増幅させる効果がありましたが、拒否すれば容易に取り外すことができました。しかし、剥がされた星虫は命を落としてしまうため、友美とその友人たちは星虫との共存を選びます。

ある日、友美たちは200年以上誰も足を踏み入れていない森を発見し、地球の悲鳴を聞きます。そして、一世紀以内に地球が滅亡するという「大崩壊理論」を知り、その回避を決意します。しかし、星虫は巨大化し、鳴き声で周囲に被害を及ぼすようになります。それでも友美と寝太郎は星虫を信じ、共に暮らす道を選びます。

満天の星を映し出す星虫を見た友美と寝太郎は、星虫を宇宙に返すことを決意しますが、周囲は星虫の危険性を訴え、2人を説得しようとします。そんな中、星虫の保有者が世界でたった2人しかいないことを知った友美は、星虫を守るために逃避行を続けることになります。

登場人物

氷室友美（ひむろ ともみ）
本作の主人公。クラス委員長を務める優等生で、宇宙飛行士を目指しています。強い信念を持ち、星虫を最後まで信じ続けます。
寝太郎（ねたろう）
本名：相沢広樹（あいざわ ひろき）。友美のクラスメイト。普段は怠惰な問題児ですが、実は天才的なプログラマーです。幼い頃から友美に心酔しており、彼女が信じる星虫と共に生きることを選びます。
吉田秋緒（よしだ あきお）
寝太郎の姉。弟をあるプロジェクトに参加させるために奔走しています。

星虫シリーズ

『イーシャの舟』
『鵺姫真話』

ラジオドラマ化

1992年6月にNHK-FM放送のラジオドラマ番組『青春アドベンチャー』でラジオドラマ化されました。

アニメ化企画

かつてアニメ化企画が存在しましたが、資金不足のため実現には至りませんでした。しかし、脚本は完成しており、脚本家の池田眞也氏のサイトで公開されています。

書籍情報

新潮文庫ファンタジーノベル・シリーズ
1990年7月発売、ISBN 4-10-104411-2
ソノラマ文庫
* 2000年6月発売、ISBN 4-257-76907-6

『星虫』は、少年少女たちの友情と勇気、そして地球の未来を託された彼らの姿を描いた、心温まるファンタジー作品です。

もう一度検索