春待気流

長渕剛の隠れた名曲「春待気流」：純粋な愛を歌うポップソング

1980年3月20日、長渕剛の4枚目のシングル「春待気流」が東芝EMIのエキスプレスレーベルよりリリースされました。作詞・作曲は長渕剛自身、編曲は瀬尾一三が担当しています。

愛を誓う、前向きなラブソング

長渕剛の初期の楽曲は、「巡恋歌」や「祈り」に見られるように、失恋や別離といった切ないテーマの作品が多い傾向がありました。しかし「春待気流」は、それらとは一線を画す、男性から女性への純粋な愛をストレートに表現した、ポジティブな恋愛ソングとなっています。

音楽性としては、長渕剛の他のフォークソング調の作品とは異なり、アップテンポでポップなサウンドが特徴です。アメリカンオールディーズ風の軽快なアレンジが施されており、聴き手に明るく楽しい印象を与えます。特に、アウトロの巻き舌を多用したハーモニカソロは、楽曲に独特の深みと魅力を与えていると言えるでしょう。

音楽情報サイト『CDジャーナル』は、「“君への愛”を高らかに誓うポップ・ナンバー。女性コーラスや半減速するBメロなど、アメリカン・オールディーズ風のキャッチーなアレンジが光る」と、その音楽性を高く評価しています。また、サビの「フニャフニャとした歌いまわし」も心地良いと評されています。

ライブでのレア曲、そして再評価

「春待気流」は、翌年にリリースされミリオンセラーを記録した「順子」とは対照的に、リリース当初からライブで演奏される機会はほとんどありませんでした。そのため、長らくファンの間でも認知度は高くありませんでした。

しかし、2004年に桜島で開催されたオールナイトコンサートで、約24年ぶりに演奏されたことで、再び注目を集めることになります。この時のライブ音源は『長渕剛 ALL NIGHT LIVE IN 桜島 04.8.21』に収録され、多くのファンに感動を与えました。2015年のROAD TO FUJIのライブでも演奏されており、近年では徐々にライブでの披露も増えているようです。

オリコンチャートと収録アルバム

オリコンチャートでは最高33位、登場回数11回を記録し、約5.8万枚のセールスを達成しました。

オリジナルアルバムには未収録でしたが、『夏の恋人』（1981年）、『FROM T.N.』（1983年）、『SINGLES Vol.1 (1978〜1982)』（1997年）といったベストアルバムやシングルコレクションに収録され、聴く機会は徐々に増えました。ライブ音源は前述の通り『長渕剛 ALL NIGHT LIVE IN 桜島 04.8.21』（2004年）に収録されています。

まとめ

「春待気流」は、長渕剛の他の楽曲とは異なるポップなサウンドと、ストレートなラブソングとして、隠れた名曲と言えるでしょう。ライブでの演奏機会も増えつつあり、今後の再評価が期待されます。その魅力は、ぜひ一度聴いて確かめてみてください。

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