春日流

春日流（しゅんにちりゅう）の歴史と特徴

春日流は、日本の伝統芸能である能楽の一流派であり、特に笛方として知られています。しかし、残念なことにこの流派は現在では廃絶しています。その起源は、松永久秀の家臣である名人笛の檜垣本彦兵衛の弟子である浅沢市右衛門元道に遡ります。彼が独立し春日流を創設したことが、流派の始まりとされています。

流派の名称は、元々は市右衛門元道の弟子であった市右衛門景道が徳川家康より春日という姓を賜ったことに由来します。江戸時代においては、春日流は観世流の笛方の中で最も重要な位置を占めていたことが分かります。特に11世の春日鉄五郎は、春日流の長命家の人物であり、この流派の発展に寄与しました。彼は以降、維新後も奈良で活動し、多くの弟子を育てました。

12世の春日市右衛門も重要な存在でした。彼は元々森田流の弟子であったものの、11世に師事し春日流の一員となりました。しかし、12世の後継者である又三郎が若くして夭折してしまったため、春日流は徐々に衰退し、最終的には廃絶する運命を辿りました。

春日流の芸風や楽譜については、森田流に非常に類似しているとされており、受け継がれてきた技術やスタイルの一部が評価されています。同時に、春日流には藤田流と共通する特徴も存在しており、特に「送り」と「知らせ」という二つのフレーズを中入りで同時に吹くスタイルがその一例として挙げられます。この点から、春日流は他の流派とは異なる独自の魅力を持っていたことが分かります。

このように春日流は、名門として知られたものの、様々な歴史的な背景と変遷を経て廃絶に至りました。今では流派に関する直接的な活動は失われているものの、過去の伝統や技術がどのように継承され広がったのかを知ることは、日本の伝統的な文化を理解する上で非常に重要なことと言えるでしょう。

参考文献としては、『能楽全書』（東京創元社）、『能・狂言事典』（平凡社）、『岩波講座 能・狂言』（岩波書店）があり、これらの資料では春日流についての詳細な情報が提供されています。

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