春運

春運（しゅんうん）とは

春運とは、中華人民共和国における旧正月（春節）の時期に発生する、大規模な人口移動現象を指します。具体的には、旧正月の約15日前から、旧正月後25日頃までの約40日間を指します。この期間中、中国国内では、帰省や旅行のために、膨大な数の人々が移動します。その規模は、中国の総人口を超えるほどであり、「人類史上最大規模の人口移動」とも言われています。

春運の原因

春運の主な原因は、以下の点が挙げられます。

出稼ぎ労働者の帰省: 中国では、農村部から都市部へ出稼ぎに来る労働者が多く、旧正月には故郷で家族と過ごす習慣があります。そのため、春運期間中に一斉に帰省とUターンが発生します。
学生の冬休み: この時期は、大学を含む多くの学校が冬休みに入ります。学生も帰省や旅行のために移動します。
交通インフラの未整備: 人口に対して交通網が十分に整備されていないため、移動が集中し、混雑が激化します。

春運の特徴

春運には、以下のような特徴があります。

都市間の移動が中心: 主に都市部と農村部間の移動が中心となります。
陸路への集中: 鉄道やバスなどの陸路に大きな負荷がかかります。
交通機関への大きな負担: 特に鉄道は、一年で最も大きな輸送量を記録します。
移動の流れ: 年末に都市部から農村部への移動が増加し、元日を挟んで移動は落ち着きます。その後、年明けから農村部から都市部への移動が増加します。

春運の問題点

春運は、社会に様々な問題を引き起こします。

切符の高騰とダフ屋: 春運期間中は、切符の需要が高まり、価格が高騰します。また、ダフ屋（黄牛）による切符の不正売買も横行します。偽造切符も出回り、取締りが強化されていますが、効果は限定的です。
治安の悪化: 混雑に乗じた窃盗、強盗、詐欺などの犯罪が増加します。危険物の持ち込みや、輸送業者の過剰な利益追求による事故も発生しやすくなります。
切符購入の困難さ: 予約は電話やインターネットで受け付けられますが、回線がパンクするほど殺到します。一部地域では指定された場所で切符を販売していますが、そこへ行くまでの交通渋滞や、切符が手に入らないなどの問題もあります。

切符の購入方法

春運期間中の鉄道切符の購入方法は、通常とは異なります。

集団予約: 学校や工場など、人員の多い団体向けに集団予約が行われます。
電話・インターネット予約: 一般向けには、電話やインターネットでの予約が推奨されています。
搭乗可能期間の延長: 一部の地域では、搭乗可能な期間が延長されます。

移動が集中する地域

春運期間中、特に移動が集中する地域は以下の通りです。

年末: 広東、北京、上海など
年始: 成都、重慶、武漢、南昌、阜陽など

春運への対策

中国政府は、春運の混雑を緩和するために様々な対策を講じています。

出稼ぎ労働者の移動制限: 一部の地域では、出稼ぎ労働者の移動を制限する法令が出されています。
予約システムの強化: 電話やインターネット予約のシステムを強化し、公平な切符販売を目指しています。
交通インフラの整備: 高速鉄道などの整備を推進し、輸送力を強化しています。

春運の歴史

春運は1994年以前から存在していましたが、記録が残っているのは1994年以降です。中国の経済発展に伴い、移動需要が増加し、春運の規模も拡大しています。

春運は、中国社会における重要な現象であり、経済や社会に大きな影響を与えています。混雑や犯罪などの問題も抱えていますが、中国の人々にとっては、家族と過ごす大切な時間となっています。

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