春雨 (白露型駆逐艦)

春雨（はるさめ）について

春雨（はるさめ）は、大日本帝国海軍の駆逐艦で、一等駆逐艦白露型の5番艦です。艦名は静かに降る春の雨に由来し、過去には春雨型駆逐艦の同名艦も存在しました。戦後は、海上自衛隊において「はるさめ」として再び艦艇が就役しました。

艦歴

春雨は1935年2月3日に舞鶴工作部で起工し、同年9月21日に進水、1937年8月26日に就役しました。当初はウェスティングハウス社製の減速機を装備していましたが、試運転中に問題が発覚したため、姉妹艦と同型の鋳鋼減速機に交換されました。そのため、就役までのスケジュールが遅延しました。

1940年10月11日、春雨は紀元2600年記念行事の観艦式に参加しました。当艦は、他の艦艇とともに艦隊を形成し、歴史的一日を経験します。

太平洋戦争の緒戦

太平洋戦争開戦時には、春雨は姉妹艦の村雨、夕立、五月雨と共に第2駆逐隊を編成していました。1941年12月からは比島ビガン攻略作戦やリンガエン湾、タラカン、バリックパパンの各上陸作戦に参加し、1942年3月のクラガン泊地攻撃でも活躍しました。

その後、春雨はクリスマス島占領作戦に従事し、新たに指揮官が交代しました。6月のミッドウェー海戦では警戒任務を担って出動し、続いて南方への輸送任務に従事します。これにより、南方の戦域での日本艦隊の運営に貢献しました。

ガダルカナル島の戦い

1942年8月、春雨はガダルカナル島の戦いに突入しました。第2駆逐隊は、長門型戦艦陸奥を護衛し、艦隊としての任務を遂行しました。多くの戦闘が展開される中、春雨は複数の揚陸作戦に従事し、連合軍の襲撃に対し反撃を行いました。特に、10月には重要なガダルカナル島への駆逐艦輸送作戦に参加し、成功を収めました。

しかし、連合軍の進撃に伴い、状況は厳しくなり、アメリカ軍の反攻が始まりました。春雨は、日本海軍の支援を受けながらも、各地での戦闘に損害を受けていきます。

第27駆逐隊への編入

1944年、春雨は第27駆逐隊に編成替えされます。新たな駆逐隊での任務に投入され、重要な護衛任務や輸送任務を引き受け、戦争の終息に向けた活動を行いました。しかし、厳しい戦局の中で不利な状況が続きます。

被雷損傷

1943年、冬期には春雨は輸送任務中にアメリカ潜水艦の雷撃を受け、重傷を負います。この事故は艦と乗組員に大きな試練をもたらしました。その後、修理を重ねつつも、春雨は夜間輸送任務においても活躍し、艦隊の一員としての役割を全うします。

沈没

1944年6月8日、春雨はビアク島への輸送任務中にアメリカ軍機の襲撃を受け沈没しました。この際、多くの乗員が他艦に救助され、艦としての最後の戦歴を刻むこととなりました。

春雨は歴史に名を刻む艦艇であり、多くの敬意を集める存在となりました。艦長や乗組員の尽力は、戦局の中での日本海軍の勇気を示すものでした。

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