昭和大橋 (広島市)

昭和大橋：広島の街を見つめる歴史の架け橋

広島市天満川に架かる昭和大橋は、上流側の上り線と下流側の下り線からなる道路橋です。現在の橋は1978年に架け替えられましたが、その歴史は戦時中の1944年にまで遡ります。

軍需都市と昭和大橋の誕生

昭和初期、太田川河口一帯は軍需工場地帯として整備されました。三菱重工業広島製作所の建設に伴い、工員住宅地の確保と工場へのアクセス向上が課題となり、その解決策として昭和大橋の建設が計画されました。三菱重工業、広島県、広島市による共同事業として、1944年、簡素な木造橋が完成しました。観音地区と舟入・江波地区を結ぶこの橋は、当時、重要な役割を担っていました。

原爆と台風、そして復興

1945年8月6日、広島市への原子爆弾投下。爆心地から2.85kmの距離にあった昭和大橋は、奇跡的に大きな損傷を免れました。多くの避難民が、この橋を渡って安全な場所へと逃れました。しかし、同年9月、枕崎台風による大水害で落橋。天満川に架かる橋は、横川橋を残してすべて流失するという大きな被害を受けました。

災害からの復興は急務であり、1947年に着工、1951年には車道専用の鉄筋コンクリート桁橋として再建されました。その後、天満川護岸や霞庚午線の整備に伴い、1979年に現在の2橋による構造に架け替えられました。この架け替え工事は、広島市と建設省中国地方建設局によって行われました。

昭和大橋と周辺環境

昭和大橋は、広島市道霞庚午線に架かっています。東詰下流側には広島県立広島商業高等学校があり、その先には広電舟入南電停、さらに吉島橋へと続きます。西詰からは、250m先に空港通りがあり、南に250m進むと広島県総合グランドがあります。また、西詰からまっすぐ進むと庚午橋にたどり着きます。平成初期までは天満川の最下流に位置していましたが、2014年の観音大橋完成により、その位置は変わりました。

昭和大橋の歴史的意義

昭和大橋は、単なる道路橋以上の存在です。その歴史は、軍需都市としての広島の繁栄、原子爆弾による悲劇、そして復興という、広島の激動の時代を物語っています。また、周辺地域の発展にも深く関わり、地域のランドマークとして、人々の生活に寄り添ってきました。

今後の昭和大橋

現在も人々の生活を支え、広島の街並みを彩る昭和大橋。これからも、この歴史的な橋が広島のシンボルとして、人々の暮らしを見守り続けるでしょう。 今後、老朽化対策なども必要になってくるでしょう。

参考資料

四国五郎『広島百橋』春陽社出版、1975年
広島市『広島原爆戦災誌』（PDF）（改良版）、2005年（原著1971年）
* 松尾雅嗣、谷整二「広島原爆投下時の一時避難場所としての川と橋」（PDF）『広島平和科学』第29巻、広島大学、2007年

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