昭和36年梅雨前線豪雨

昭和36年梅雨前線豪雨

昭和36年梅雨前線豪雨、一般的に「三六災害」と呼ばれるこの災害は、1961年6月24日から7月10日までの間、日本全国で発生した猛烈な降雨により引き起こされました。特に、長野県南部の伊那谷を含む天竜川流域では、氾濫や土砂災害の影響で甚大な被害を被りました。

背景

1961年の梅雨は、6月9日に始まりましたが、その後はしばらく好天が続き、空梅雨の懸念が高まりました。しかし、6月23日頃から熱帯低気圧の影響で梅雨前線が北上を始め、本州南岸に停滞しました。26日以降は台風6号が接近し、関西や中部地方を中心に44都府県にわたって大雨が降りしきることとなりました。この状況は6月末から7月初めにかけて一旦収束を見せましたが、7月3日から5日の間には東北や九州でも再び激しい降雨が記録され、その後ようやく雨は止みました。

全国的な被害状況

この豪雨による全国的な被害は非常に深刻でした。死亡者は302名、行方不明者は55名、負傷者は1,320名に達しました。また、家屋については全壊が1,758戸、半壊が1,908戸、床上浸水が73,126戸、床下浸水が341,236戸に上りました。特に三重県尾鷲市では、6月26日に日降水量432.4mmを記録し、その影響を受けて多くの地方で壊滅的な被害が発生しました。死者の中でも、長野県が134名、神奈川県が56名、兵庫県が41名と、住宅造成地の斜面崩落が原因で多くの命が奪われました。

伊那谷の被害

豪雨の影響は伊那谷で特に著しいものでした。6月27日には飯田市で降水量325.3mmと、通常の6月の降水量230mmを大きく上回る降雨があり、下伊那郡清内路村では日降水量が驚異の587mmに達しました。これにより、天竜川とその支流には土石流や崖崩れが発生し、大量の土砂が流れ込みました。この影響で、川の堤防が壊れ、流木が市街地に流れ込むことで大規模な水没が発生しました。

大西山の崩壊

特に深刻な事態は6月29日、下伊那郡の大西山で発生しました。午前9時10分に山体の崩壊が起き、小渋川に向かって土砂が流れ込み、対岸の集落を丸ごと飲み込んでしまいました。崩落範囲は450メートルの高さと280メートルの幅を持ち、推定280万から350万立方メートルの土砂が流出しました。この崩落により39戸が土砂に埋まり、42名が亡くなりました。

被害の規模と影響

伊那谷では、死者数99名、行方不明者25名、重軽傷者は1,155名に上り、534ヘクタールの面積が浸水しました。家屋にも大きな被害が出ており、浸水した戸数は12,452戸、全壊が898戸、半壊が605戸という深刻な状況が続きました。このような影響は、飯田市や駒ヶ根市だけでなく、大鹿村や喬木村、高森町など多くの地域に及びました。

結論

昭和36年梅雨前線豪雨は、当時の日本において未曾有の災害となり、都市部を含む複数の地域に深刻な影響を与えました。この出来事は、以後の災害対策や法整備における重要な教訓となりました。

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