昭和45年台風第10号

昭和45年台風第10号（アニータ）について

昭和45年（1970年）8月に発生した台風第10号、国際名アニータ（Anita）は、日本の西日本地域に大きな影響を及ぼしました。この台風は、特に高知県での被害が深刻であり、土佐湾での記録的な高潮により多くの地方で災害が発生しました。土佐湾台風とも呼ばれていますが、これは気象庁が公式に名付けたものではありません。

台風の発生と進行

1970年8月15日の午前9時、台風はググアン島の東南海上で熱帯低気圧として発生しました。その後、8月16日午後3時に台風第10号として名前が付けられ、マウグ島の西南西に位置しました。この台風は、17日の午後9時から北西へ進路を変更し、20日の午前3時には和歌山県潮岬の南850キロメートルの位置に達しました。この時、中心気圧は910hPa、最大風速は55m/sに達しました。

台風は8月21日午前8時に高知県佐賀町（現・黒潮町佐賀地区）に上陸しました。11時過ぎには愛媛県松山市、および安芸灘を通過し、その後、広島県呉市東部にも再上陸しました。午後3時には島根県大田市の西方から日本海に抜け、8月23日には温帯低気圧に変わるまで日本を横断しました。

高知県での影響

高知県では、21日の早朝から昼の時間帯にかけて台風の強風域に入りました。高知市では、午前9時に最大風速29.2m/sを観測し、同時に最大瞬間風速は54.3m/sに達しました。これらはともに観測史上記録的な数値であり、強力な風がもたらす影響を示しています。

特に土佐湾沿岸では異常な高潮が発生しました。桂浜の検潮所では最大潮位が313cmに達し、最大偏差は235cmとなり、これが満潮時と重なったため、海水が防潮堤や河川護岸を越えて溢れ出し、高知市周辺に大規模な洪水を引き起こしました。

被害状況

この台風による人的被害は非常に悲惨なものでした。死者は23名、行方不明者は4名、そして負傷者は556名にのぼりました。また、住居に関しても壊滅的な被害が報告されています。住家の損壊は48,652棟、浸水は59,961棟に達し、地元のインフラやコミュニティに壊滅的な影響を及ぼしました。

このような大規模な台風の影響は、地域社会の復興に長い時間を要しました。昭和45年台風第10号は、単なる自然災害に留まらず、その後の防災政策や災害対応の在り方に大きな影響を与える事件となりました。

まとめ

昭和45年の台風第10号（アニータ）は、日本における自然災害の一例として語り継がれている強い台風でした。多くの人々の生活に深刻な影響を与え、現在もその教訓は生かされ続けています。

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