昴宿

昴宿（ぼうしゅく／すばるぼし）

昴宿（ぼうしゅく）、あるいは古くは「すばるぼし」とも呼ばれるこの星宿は、古代中国で星や季節を観測するために定められた二十八宿と呼ばれる星宿体系の一つに位置づけられています。特に、天上の四方を守るとされる霊獣になぞらえられた「四象」のうち、西方を司る白虎に対応する七つの宿、すなわち西方白虎七宿の中に数えられ、その第四番目の宿にあたります。

含まれる天体と距星

この昴宿がその名と特徴を共有しているのは、夜空で輝くプレアデス星団です。肉眼でも六つほどの星が集まって見えることから、日本では古くから「すばる」と呼ばれ親しまれてきました。昴宿はこのプレアデス星団全体をその領域に含んでいます。また、二十八宿を観測する際の基準点となる主要な星、すなわち距星は、おうし座に位置する17番星が充てられています。

星官としての構成

二十八宿における各宿の中心となる星のまとまりは星官と呼ばれ、星座のような役割を果たします。主体となる星官としての「昴」は、七つの星によって構成されています。これらの星は全ておうし座に属しており、具体的には、

おうし座17番星
おうし座19番星
おうし座21番星
おうし座20番星
おうし座23番星
おうし座25番星
* おうし座27番星

がこれにあたります。これらの七つの星が、天上の昴宿の中核を成す星官を形作っています。これらの星番号は、フラムスティード番号と呼ばれる恒星の命名法に基づくものです。

天区内の他の星官

昴宿という一つの広がりを持つ天区の中には、主体である七星からなる「昴」の星官の他にも、複数の星官が定められています。古代中国の天文学では、天空を区分し、様々な形の星官を配置して天上の事象を解釈しましたが、この昴宿の領域には、さらに九つの独立した星官が存在するとされています。

暦との関連

二十八宿は天体観測だけでなく、日々の吉凶を占う暦注としても用いられました。昴宿にあたる日は、特定の活動にとって縁起が良いとされています。特に、新しい家具を作ったり、家屋の増改築や修理といった造作を行うことなどが、伝統的に吉事と見なされています。このため、暦の上で昴宿が巡ってくる日は、これらの作業を行うのに適した日として選ばれることがあります。

このように、昴宿は天文学的な位置づけや構成を持つだけでなく、古代の人々の生活や文化、特に暦の上でも重要な意味合いを持った星宿と言えます。

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