時よ炎のごとく!

時よ炎のごとく!

『時よ炎のごとく!』は、1980年3月から7月にかけてフジテレビ系列で放送されたドラマで、全20回にわたります。舞台は東京・銀座の老舗デパート『銀屋』で、三代目社長の山岸銀右衛門が病に倒れ、社長不在の状況から物語が始まります。

複雑な権力闘争

社長の不在に伴い、二人の取締役、桂木と小坂が次期社長の座を賭けて激しく競り合うことになります。特に小坂は、自身の地位を強化しようと外商部に厳しい販売ノルマを課し、その結果、過重なプレッシャーから自殺者が出るという深刻な事態も発生するのです。

経営状態が厳しくなり、ライバルスーパー「シンエー」の台頭に苦しむ銀屋は、崖っぷちに立たされます。この困難な状況を打破するため、銀屋はパリ支店に勤務していた高木隆司を本店に呼び戻し、営業部長としての役割を託けます。

新たな道を模索する高木

高木は新しい視点で経営改革を目指し、特に若手デザイナーの若林久美を銀屋の専属デザイナーとして迎え入れるために動き始めます。このデザインのプロジェクトは、彼にとっても大きな勝負であり、「チャーム・クミ」という新しいプライベートブランドを立ち上げるための重要な一歩です。

興味深いことに、高木と久美はパリ時代に恋仲でありながら、実は異母兄妹という複雑な関係があったのです。しかし、久美にはその真実がまだ知られていませんでした。絆と秘密が交錯する中、彼らの関係は不安定なものとなり、さまざまな感情が交わることになります。

社外との闘争と再建の道

物語は、武蔵デパートなどの競合との競争や、エルマートからの妨害工作、さらには政治献金事件といった不正の影が迫る中、高木が社内外の敵と対峙しながら経営再建に取り組む姿を描き出します。高木たちがどのようにして銀屋を再生させるのか、その過程は視聴者に緊張感と感動を与えます。

キャストと音楽

本作には加山雄三が高木隆司役、梶芽衣子が若林久美役を務め、他にも多くの実力派俳優が登場します。主題歌は、たちはらるいが歌う『振り向けば風の街』で、ドラマの雰囲気を一層引き立てています。音楽に関しても渡辺岳夫が担当し、作品の感情を深める重要な役割を果たしています。

「時よシリーズ」としての位置づけ

このドラマは、前年の『時よ燃えて!』に続く『時よシリーズ』の一環として位置付けられています。人間ドラマと商業の現実が交錯する物語は、多くの視聴者に感情的な共鳴をもたらしました。

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