普久原朝喜

普久原 朝喜の生涯と業績

普久原 朝喜（ふくはら ちょうき、1903年12月30日 - 1981年10月20日）は、沖縄県出身の著名な音楽家として知られ、その業績は琉球民謡の発展に多大な影響を与えました。彼はマルフクレコードの創立者であり、「琉球民謡の祖」や「沖縄新民謡の父」と称され、多くの人々に愛される音楽を残しました。

幼少期と家庭環境

朝喜は沖縄県越来村照屋にて、父朝儀と母カメの間に第2子として誕生しました。彼は9人兄弟の長男で、地域では三線の名手として知られていました。11歳の時、地元での蓄音機の購入により、彼はレコード音楽に触れ、音楽への興味を一層深めることになります。

しかし、1922年に一家の生活が貧しくなり、朝喜は1923年に逃れるように大阪市へと働きに出ました。そこでは紡績工場での労働を経て、自分の喫茶店を開き、事業家としての道を歩み始めました。

音楽キャリアの始まり

1925年、彼は大阪で初めてレコードの録音を行い、代表曲「ハンタ原」と「宮古ンニー小」を発表しました。翌年にはマルフクレコードを創業し、琉球民謡を中心に様々な楽曲を制作しました。多嘉良朝成や仲泊兼蒲といった他のアーティストの録音も手掛け、売上向上のために自らレコード販売にも取り組みました。自転車の荷台に蓄音器を載せ、移動販売を行う様子は、「チコンキーフクバル」として親しまれました。

音楽と民謡の創造

普久原は「沖縄新民謡のパイオニア」とも称され、新しい民謡の創出に力を入れていました。しかし、実際にマルフクレコードで録音された全491曲の中で、新民謡はわずか28曲にすぎず、彼の作詞作曲した新民謡としての代表作も非常に限られていました。彼が手掛けた楽曲には《入営出船の港》《浦波節(物知り節)》《情の唄》《移民小唄》《恨みの唄》《世宝節》《勇士の妻》《親心》《布哇節》《無情の唄》《夫婦節》があり、これらは彼の音楽的な才能を証明しています。

事業家としての一面

普久原のマルフクレコードは、後に養子である普久原恒勇に引き継がれました。恒勇は、音楽家としてだけでなく、実業家としての普久原朝喜をも評価し、「音楽よりも事業が重要だった」と証言しています。戦後、マルフクレコードは沖縄に移転し、地域の音楽文化を支える存在として存続し続けました。

遺産と顕彰

普久原の遺品である蓄音機、三線、レコードなどは現在、大阪人権博物館に展示されています。また、1993年には生誕90周年を祝う顕彰碑が沖縄こどもの国に建立され、彼の偉業を後世に伝えています。

普久原朝喜の音楽は、沖縄の文化に深く根ざしており、彼が残した民謡は多くの人に愛され続けています。彼の生涯を通じての情熱と努力は、沖縄の音楽の歴史において欠かせない要素となっています。

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