普門寺 (八潮市)

普門寺の概要

埼玉県八潮市南川崎に位置する普門寺は、真言宗豊山派の寺院であり、正式名は「大悲山 観音院 普門寺」と言います。寺の本尊は不動明王で、武蔵国三十三観音の札所第十九番目、及び新四国四箇領八十八ヶ所霊場第70番札所に指定されています。普門寺は、法流開山の祐運和尚が中興の祖であり、大雲唯阿僧正が香衣祖として名を馳せています。

歴史的背景

普門寺は、永禄元年（1558年）に盛源尊者によって弘法大師の教えの道場として設立されました。当初は武蔵国木曾根村に位置し、その後も多くの歴史的な出来事に見舞われました。1812年には、大雲唯阿僧正が総本山長谷寺の第三十九世能化に就任し、1886年には木曾根学校が廃校となります。また、1923年の関東大震災によって本堂や庫裏が被害を受け、鐘楼堂が崩壊しました。第二次世界大戦中には、1767年に鋳造された梵鐘を供出し、1945年には本堂が学童集団疎開地として利用されました。

特に、1984年には弘法大師御入定1150年御遠忌記念事業が行われ、普門寺は南川崎に移転しました。新しい場所には本堂や観音堂、庫裏が再建され、新たな寺容を整えました。

境内の見どころ

普門寺の境内には、本堂、観音堂、大師堂、弘法大師修行像、六地蔵、宝篋印塔、さらに山門が存在します。また、350年の樹齢を誇る多行松も見どころの一つです。

大雲唯阿僧正

普門寺中興の祖である大雲唯阿僧正は、ここで得度を受け、長谷寺で修行を積んだ後、再び普門寺に戻り住職を務めました。1812年から1818年まで長谷寺の第三十九世能化としても名を馳せ、1825年に唯阿僧正の愛用の緋法衣が寺宝として普門寺に伝承されています。

武蔵国三十三観音札所

普門寺は、武蔵国三十三観音札所の一翼として重要な役割を果たしており、吉川市、越谷市などを含む広域に八十五ケ所の札所があります。12年に一度の午の年には総御開帳が行われ、この機会には特に多くの参拝者が訪れます。普門寺は、正観世音菩薩を安置しており、地域に深い信仰が根付いています。

この札所は1702年に指導者である太郎兵衛と門三郎の夢の啓示から生まれたもので、1738年に円妙和尚によって記された「武蔵三十三所観音巡礼縁起」にその歴史が記されています。

交通アクセス

普門寺へのアクセスは、つくばエクスプレス八潮駅から徒歩約20分、またはタクシーで約5分です。また、首都高速6号三郷線の八潮インターチェンジからは約2kmの距離となっています。周辺には八潮保育園や埼玉県立八潮南高等学校もあります。普門寺を訪れる際は、歴史を感じながら参拝を楽しんでください。

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