暗号資産

暗号資産（仮想通貨）とは

暗号資産（crypto-asset）は、インターネット上で流通する電子的な資産であり、分散型台帳技術（DLT）などが用いられています。暗号通貨やトークン（NFT、ステーブルコインなど）が含まれます。

以前は仮想通貨（virtual currency）と呼ばれていましたが、日本では2020年施行の改正資金決済法により暗号資産へと変更されました。日本においては投機目的での売買が一般的であり、現物取引やレバレッジ取引、積立投資などの各種取引方法がそれぞれの暗号資産取引所によって用意されています。

定義

日本では、資金決済法で以下のように定義されています。

1. 不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨（日本円や米国ドル等）と相互に交換できる
2. 電子的に記録され、移転できる
3. 法定通貨または法定通貨建ての資産（プリペイドカード等）ではない

欧州委員会は、「分散型台帳技術または類似の技術を使い、電子的に転送・保存することができる価値または権利のデジタル表現」としています。

用語の歴史

「仮想通貨」という用語は、ソーシャル・ネットワーキング・サービスやオンラインゲームで使用されるオンライン通貨を指す言葉として用いられていました。

2012年、欧州中央銀行（ECB）はビットコインを仮想通貨の一種とし、仮想通貨の定義を「デジタル通貨の一種であり、規制を受けておらず、通常は開発者によって発行および管理され、特定の仮想コミュニティのメンバー間で使用および受け入れられるもの」としました。

米国では、2012年にFBIがビットコインを仮想通貨と呼ぶ例が見られ、2013年11月に米国上院でビットコインに関する公聴会が開かれた際、上院の国土安全保障・政府問題委員会や司法次官補、FRB議長のベン・バーナンキらが仮想通貨という用語を使用しています。

日本における暗号資産

日本においても、ビットコインは「仮想通貨」と呼ばれていましたが、2014年6月、自民党は関係省庁の見解を取りまとめ、ビットコインなどを「価値記録」と定義しました。

2016年5月25日に成立（6月3日公布）し、2017年4月1日に施行された改正資金決済法において、ビットコインなどの「仮想通貨」が日本の法律に定められることになりました。2019年5月31日、「仮想通貨」という呼称では既存の法定通貨と同様な資産との誤解を受けやすいことや、G20などの国際会議で「暗号資産」の呼称が使われていることなどを背景に、「暗号資産」への呼称変更などを盛り込んだ資金決済法や金融商品取引法の改正法が国会で可決成立しました。この改正資金決済法・改正金融商品取引法は、2020年5月1日に施行されました。

世界の暗号資産

世界にある暗号資産の総数は年々増加しています。ビットコインとイーサリアムは、時価総額や1日の取引量から見て暗号資産におけるトップ2です。

各国の動き

中国は2021年9月24日、国内で暗号資産のサービスを提供する行為を禁止し、使用を違法としました。合わせて海外の取引所が中国本土の住民にサービスを提供することも禁じました。

北朝鮮はネットでの暗号資産の略奪行為に積極的に動いています。2023年2月1日、ブロックチェーン分析会社チェイナリシスは、北朝鮮の支援を受けたハッカー集団が、2022年の1年間で17億ドル（約2200億円）相当の暗号資産を盗んだと報告しました。

エルサルバドルでは2021年9月7日、「ビットコイン法」が発行し、世界で初めてビットコインを国の法定通貨に採用しました。

マイニング

暗号資産の新規発行は「マイニング」（採掘）という方法で行われます。その取引には複雑で高度な計算を必要とするため、世界中のマイナー（採掘者）たちが、その暗号資産のコンピューター演算の作業に協力し、その成功報酬として新たに発行される暗号資産を得る仕組みが生まれています。

取引業者とハッキング事件

暗号資産の取引はデジタル通貨取引所を通じて行われますが、過去に多数のハッキング事件が発生しています。以下はその一例です。

2011年6月19日、マウントゴックスにてハッキング
2015年1月、ビットスタンプにてハッキング（約19,000ビットコイン盗難）
2016年8月、ビットフィネックスにてハッキング（119,756ビットコイン盗難）
2018年1月26日、コインチェックにてNEM全額流出

その他のリスク

連邦取引委員会によると、2021年初頭から暗号通貨での詐欺事件で、多数の人々が多額の被害を受けています。また、ランサムウェアなどの犯罪利用や、犯罪に利用されるダークネットでの使用も問題視されています。

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