法定通貨

法定通貨とは

法定通貨（legal currency/tender）とは、法律によって強制通用力が認められた通貨のことです。これは、金銭債務の弁済手段として、その通貨での支払いを拒否できないという法的効力を意味します。つまり、法定通貨による債務の支払いは、原則として受け入れなければなりません。法定通貨は「法貨」とも呼ばれます。

日本では、法令用語として「通貨」という言葉が、特に日本の法定通貨を指すことが多いです。しかし、世界には複数の機関が法定通貨を発行する国もあります。例えば、スコットランドではイングランド銀行発行のポンドに加え、商業銀行が発行する紙幣も法定通貨として流通しています。香港でも同様に、複数の商業銀行が香港ドルを発行しています。

日本の法定通貨

現在の日本においては、日本銀行が発行する日本銀行券（紙幣）と、政府が発行する貨幣（硬貨）のみが法定通貨として認められています。日本銀行券は日本銀行法によって無制限の強制通用力が認められていますが、補助的な役割を担う硬貨の強制通用力は、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」により、額面価格の20倍まで（一回の使用につき同一金種で20枚まで）に制限されています。

過去に発行が停止された日本銀行券や硬貨も、無効とされたものを除き、現在流通している通貨と全く同じ法的効力を持ちます。また、給与の支払いや税金の納付は、原則として通貨で行うことが法律で定められています。

現在有効な日本の法定通貨一覧

2024年7月時点で、強制通用力を持つ日本銀行券と貨幣（硬貨）を額面ごとに一覧で示します。ただし、未発行のもの、発行予定のもの、記念貨幣は含みません。

日本銀行券
一万円
五千円
二千円
千円
貨幣（硬貨）
五百円
百円
五十円
十円
五円
一円

紙幣の見本画像には赤色の線が描かれていることがありますが、これは実物には存在しません。

自動釣銭機における注意点

コンビニエンスストアやスーパーマーケットに設置されている自動釣銭機では、現在有効な法定通貨であっても、一部の旧式なものや機器が対応していないものは使用できない場合があります。具体的には、現在発行されていない紙幣や硬貨、機種によっては二千円札が使用できない場合があります。ただし、五百円ニッケル黄銅貨やギザ十、フデ五などは、多くの機種で利用可能です。

これらの通貨が支払いに使われた場合、店員が対応する現行の通貨に交換したり、データ上で入金処理を行うことで対応しています。

新紙幣の発行と旧紙幣の扱い

2024年7月3日には、新しいF号券の発行が開始されましたが、F号券が十分に流通するまでは、回収されたE号券のうち再利用可能なものは、引き続き市場に供給されます。

まとめ

法定通貨は、法律でその価値と通用力が保証された通貨であり、経済活動において非常に重要な役割を果たします。日本においては、日本銀行券と政府が発行する貨幣が法定通貨として認められ、日常生活や経済活動において広く利用されています。新旧の紙幣や硬貨に関わらず、法定通貨としての効力は変わらないため、安心して使用できます。

もう一度検索