暗野

暗野（ブラック・フィールド）

橋本治によって1981年に発表された小説『暗野』。当初は北宋社から刊行され、後に河出文庫に収録されました。

あらすじ

物語は、ごく平凡な大学生であるノブオの日常を描きます。彼はキャンパスで出会う学友たちを小学生のように感じたり、恋人の防臭剤の香りに嫌悪感を抱いたりする日々を送っています。一方、精神病院では、ムラマツ・ユカコという30代の女性が、10代の身体のまま昏睡状態で存在しています。

ある日、飲み屋で居合わせた人々が、まるで贓物のように引き裂かれるという凄惨な事件が発生。事件を追う刑事も登場し、物語は不穏な様相を呈していきます。そして、東京中の人々の無意識領域、すなわち「暗野」が解放されたとき、ユカコやノブオの内に潜む殺意が伝播し、夢現の中で大殺戮が繰り広げられるという展開を迎えます。

こぼれ話

英語題である「ブラックフィールド」は、大島弓子の漫画に登場する「ホワイト・フィールド」という概念に対抗して名付けられたというエピソードがあります。

評価

評論家の栗本慎一郎は、自身の著書『相対幻論』『俺たちはノイズだ』『反文学論』の中で『暗野』を絶賛しています。また、征木高司も、作中の殺戮シーンに対して「橋本よ、日和るなよ」と応援しながら読んだと述べています。

関連作品

『暗野』と類似したテーマ、すなわち警察と心療機関、そしてサイコパスの三つ巴や、殺意の感染を描いたサイコ・スリラー作品は、1990年代に日本とアメリカで多く制作されました。

類似作品として、

• - CURE (映画)
• - 沙粧妙子-最後の事件-
• - コピーキャット (映画)|コピーキャット_(映画)
• - ケイゾク

などが挙げられます。

警察と心療機関の関わりという点では、

• - 羊たちの沈黙

も該当します。

また、雰囲気が近い作品として

• - ツイン・ピークス

も挙げられます。これらの作品はいずれも1990年代に制作されています。

ただし、これらの作品と『暗野』との間に、直接的な影響関係は指摘されていません。

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