暗黒への転落

『暗黒への転落』（英語: Knock on Any Door）は、1949年にサンタナ・ピクチャーズによって製作・公開されたアメリカ映画です。この作品は、アフリカ系アメリカ人作家ウィラード・モトリーが1947年に発表した同名小説を原作としています。映画の脚本はジョン・モンクス・ジュニアとダニエル・タラダッシュが担当し、監督はニコラス・レイが務めました。ロケーション撮影はカリフォルニア州のアロウヘッド湖で行われ、その美しい自然が物語の舞台を彩っています。

日本では1956年10月15日にブレイクストン・カンパニー日本支社と映配の共同配給で公開されました。その後、DVDは2004年2月25日にソニー・ピクチャーズエンタテインメントから「COLUMBIA TRISTAR FILM NOIR COLLECTION VOL.1」の一部としてリリースされ、2007年4月4日には単独でも発売されています。

あらすじ

物語は、主人公ニック・ロマーノが強盗と警官射殺の罪で裁判を受ける場面から始まります。彼の弁護士であるアンドリュー・モートンが語り始めることで、ニックの前半生が回想されます。

モートンはかつてニックの父親の弁護も担当していましたが、その時は真剣に取り組まなかったため、ニックの父親は無実の罪で刑務所送りとなり、獄中で亡くなります。戦争の影響もあり、ニックの一家は貧困に陥ります。2年後、ニックは不良少年団のボスとなりますが、感化院に入れられてしまいます。出所後、彼はエマという女性と恋に落ちますが、再び刑務所に入ることになります。1年後、出所したニックはまともな職を得てエマと結婚しますが、ある出来事をきっかけに再び犯罪を犯してしまいます。その結果、エマは自殺を図ります。ニックはエマを救おうとした際に警官と揉み合いになり、誤って彼を射殺してしまいます。そして、裁判の場に戻ります。

モートンは、貧民窟を調査する妻アデラの励ましを受け、ニックの弁護に力を尽くします。しかし、証言はすべてニックに不利なものでした。法廷全体がニックの死刑を回避すべきだと考えていたにもかかわらず、検事からエマの死について問われたニックの答えが、最終的に死刑判決を決定づけてしまいます。ニック自身は、死刑判決に安堵した様子でした。

スタッフ

プロデューサー：ロバート・ロード
監督：ニコラス・レイ
原作：ウィラード・モトリー
脚本：ジョン・モンクス・ジュニア、ダニエル・タラダッシュ
撮影：バーネット・ガフィ
録音：フランク・ゴールドウィン
編集：ヴァイオラ・ローレンス
音楽：ジョージ・アンタイル
フォーマット：白黒映画、スタンダードサイズ（1.37:1）、モノラル録音

キャスト

ハンフリー・ボガート：弁護士アンドリュー・モートン（日本語吹き替え：久米明）
ジョン・デレク：ニック・ロマーノ
ジョージ・マクレディ：カーマン刑事
アリーン・ロバーツ：エマ
スーザン・ペリー（キャンディ・トクストン）：アデル・モートン
ミッキー・ノックス：ヴィトー
バリー・ケリー：ドレイク判事

作品データ

製作年：1949年
製作国：アメリカ合衆国
配給：ブレイクストン・カンパニー日本支社、映配（日本公開時）
日本公開日：1956年10月15日
ジャンル：ドラマ、フィルム・ノワール

関連事項

1956年の日本公開映画
* アロウヘッド湖 (カリフォルニア州)

備考

本作は、貧困が犯罪を生み出すという社会問題をテーマにしており、その悲劇的な結末は観る者に深い印象を与えます。また、ハンフリー・ボガートが演じる弁護士アンドリュー・モートンの苦悩も物語に深みを与え、社会の不条理と人間の弱さを浮き彫りにしています。

この映画はフィルム・ノワールとしても評価が高く、その特徴的な映像表現や演出は、後の映画作品にも影響を与えました。

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