暗黒神伝承 武神

暗黒神伝承 武神

『暗黒神伝承 武神』（あんこくしんでんしょう たけがみ）は、1990年から1992年にかけてJ.C.STAFFが製作した全3話からなるオリジナルビデオアニメ（OVA）です。本作品は、幻想的な設定とキャラクターたちの深い感情に基づいたストーリーが魅力です。特に、青春の葛藤や神話への関与がテーマとなっています。

あらすじ

物語は、山間部に位置する町・武速（ぶそく）を舞台に展開します。この町は古くから竜の伝説が語り継がれており、湖の近くにある八頭龍神社がその中心的存在です。主人公である天野照美（あまの てるみ）は、幼少期に友人の朱砂晃一（すさ こういち）から竜王窟での願い事についての話を聞き、その影響を受けます。

年月が過ぎ、高校生となった照美と晃一は同じ学校に通うことになりました。照美は晃一に対して秘めた想いを寄せていましたが、彼に言い寄る美人で高慢な同級生、高原素子（たかはら もとこ）に対してコンプレックスを抱き、自分の気持ちを表すことができませんでした。そして、新嘗の日の神社の祭りの夜、彼女は美しくなりたいと願うあまり、禁じられた竜王窟に足を踏み入れます。

照美が結界を破ると、そこに封じられていた竜に憑依されてしまいます。この出来事がきっかけとなり、晃一は入浴中に声を聞くことになります。その声は根の国の須佐（すさ）と名乗り、竜が結界を破ったため自らの体を借りて討つと告げます。この瞬間、晃一は意識を失ってしまいます。

その後、武速で女性を狙った連続殺人事件が発生します。これが、晃一に憑依した先祖のスサノオによるものであることが次第に明らかになります。照美は一夜にして美しい容姿を手に入れますが、その影響で触れた物が枯れ、死んでいくことに恐怖を感じ始めます。

尼僧の松浦小夜子（まつうら さよこ）は、学校へ向かう晃一を呼び止め、彼がスサノオに憑かれていること、竜の結界が破られたことを告げます。彼女が願いをかけた者が照美であることに気づいた晃一ですが、時既に遅し。照美はついに素子を手に掛けてしまいます。彼女の意識は竜に乗っ取られた状態です。

スサノオは照美を殺そうとしますが、晃一はそれを拒否し戦います。竜王窟の岩盤に封じられた竜は、照美を取り込み復活しようと企てます。松浦小夜子と晃一は竜と戦い試みますが、二人は敗北し、水流に呑み込まれてしまいます。

最終的に、湖から復活した竜は武速の町を襲います。しかし、晃一はスサノオの力を持ち、自らが武神となって竜に立ち向かう決意を固めます。

登場人物

本作には多彩なキャラクターが登場します。主なキャラクターには、朱砂晃一（声：井上和彦）、天野照美（声：日髙のり子）、松浦小夜子（声：榊原良子）、高原素子（声：佐久間レイ）がいます。特に晃一と照美の関係が物語の核心にあり、多くの葛藤が描かれています。

制作スタッフ

本作品の監督・脚本は山崎理が担当しており、制作プロデューサーは島崎克実です。キャラクターデザインは大貫健一が手がけ、音楽は長岡成貢が担当しています。J.C.STAFFにより制作されたこの作品は、深いストーリー性と共に美しい作画で視聴者を魅了します。

『暗黒神伝承 武神』は神話や青春の葛藤を背景にした、魅力的な物語です。

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