暗黒街の牙

暗黒街の牙

『暗黒街の牙』は、1962年に公開されたアクション映画で、東宝が製作した麻薬取引をテーマにした刑事ドラマです。この作品は「暗黒街シリーズ」の第6弾であり、撮影は内海正治が担当しました。脚本は『日本一の若大将』を手掛けた福田純と坪島孝が共同で執筆しており、前作『暗黒街撃滅命令』に引き続き、暗黒街を舞台にしたストーリーが展開されます。

ストーリー概要

物語の舞台は高津市。ここは暴力団によって支配されており、麻薬ビジネスが横行しています。津田組は香港から麻薬を仕入れ、針谷組はそれを販売しています。警察はこの麻薬取引を摘発するべく、密かに捜査を進めることを決定しました。その結果、秘密捜査官の木崎が高津市に派遣されます。

木崎は「網走帰りのケン」と名乗りながら、巧妙に津田組と針谷組に接近します。ある夜、津田組と針谷組の間で麻薬の取引が行われますが、津田の部下である岩間と次郎は、針谷組に偽の麻薬を渡し、本物と現金3000万円を持って失踪します。両組織はその後、彼らを追い詰めることになります。

木崎は、口の利けない靴磨きを通じて情報を得ます。靴磨きは市内で麻薬に立ち向かう情熱を抱き、また木崎の弟・雄二もヤク中であることから、彼を探す手掛かりにします。弟の恋人・由紀は雄二を思いやる存在であり、彼女の純愛が物語に彩りを添えています。

次郎は後に逮捕され、彼の口から岩間が真の犯人であることが判明します。木崎は売春婦の春海が岩間の愛人であり、津田のスパイであることを突き止めました。木崎は春海を通じて岩間の行動を探り、二時の駅に現れるという情報を得ます。しかし、この連絡は針谷組によって傍受され、木崎の正体がバレてしまうのです。

クライマックスでは、木崎が岩間を追い詰める中、次郎が3000万円の入ったトランクを持って逃走します。しかし、次郎もまた針谷組によって命を落とします。同時に津田組は木崎の弟・雄二を発見し、木崎をおびき出す罠を仕掛ける。木崎の運命はまさに危機的な状況に陥ります。

その後、警察も現場に駆けつけ、木崎の銃声が響き渡ります。津田組と針谷組の戦闘が激化し、それぞれの運命が交錯する中で物語は大きなクライマックスを迎えます。

スタッフとキャスト

映画の監督は福田純、脚本は小川英、坪島孝、福田純の3人によって書かれています。また、田中友幸と三輪礼二が製作を務め、内海正治が撮影を担当しました。音楽は広瀬健次郎が手掛け、美術は竹中和雄、照明は金子光男が担っています。主要なキャストには、三橋達也（木崎夏雄）、夏木陽介（木崎雄二）、佐藤允（津田武志）などが名を連ねています。

本作は、高度な演出と緊迫感あふれるストーリー展開が特徴であり、困難に立ち向かう主人公の姿が描かれています。麻薬ビジネスと警察の葛藤をリアルに描いた作品は、観る者に強い印象を残します。

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