暴力波止場

映画『暴力波止場』の概要

『暴力波止場』（ぼうりょくはとば、原題：Edge of the City）は、1957年1月29日にアメリカで公開されたモノクロ映画です。この作品は、赤狩りの時代にテレビから舞台に進出したマーティン・リット監督の映画デビュー作として知られています。また、本作は2年前に放送されたテレビドラマを基にした再構築作品です。

映画のテーマ

この映画は、白人と黒人の間に存在する友情というテーマに迫っており、そのテーマの理解が十分でなかった時代背景において、南部では上映されづらかったことが特徴的です。その結果、興行的には思うような成果を上げられなかったものの、批評家からは好意的なコメントを多く受けていました。

あらすじ

物語は、マンハッタンのウエストサイドから始まります。厳しい現実に追われるような形で、若者アクセルが職を求めてやってきます。彼はチャーリーという親方に頼んで雇ってもらうことになりますが、そこで彼が働くドックには、白人で傍若無人なチャーリー率いるチームと、黒人で人情味あふれるトミー率いるチームが存在します。

アクセルはトミーのチームに加わり、彼とその家族と深い絆を築いていきます。トミーの妻からは、友人であるヘレンも紹介され、彼の日常に次第に溶け込んでいくことになります。しかし、アクセルが過去に軍隊からの脱走者であることがチャーリーに知られてしまい、彼は脅迫を受けることとなります。

トミーは、アクセルを助けようとしますが、彼自身も複雑な事情を抱えており、やがて事態は深刻化します。ある日、アクセルとチャーリーの間で激しい口論が勃発し、トミーが仲裁に入るものの、チャーリーが人種差別的な言葉を投げかけたことで、決闘が始まってしまいます。その結果、トミーは悲劇的な運命を迎えることになります。

結末とその後

トミーが命を落とした後、警察による捜査が始まりますが、ドッカーたちは誰一人として真実を語ろうとしません。彼らは「正当な勝負だった」と主張し、事件の背後には無言の圧力が存在していることが垣間見えます。アクセルは、トミーの妻に別れを告げる際に「あなたはトミーの友人ではない」と非難され、心に深い傷を負います。

最終的に、アクセルは自らの過去に向き合い、監獄行きを覚悟して警察に出頭しようとしますが、チャーリーとの格闘が繰り広げられ、物語のクライマックスを迎えます。彼は、決闘で重傷を負ったチャーリーの体を引きずる姿が描かれ、彼自身が引き起こした運命に対する対峙が強く印象に残ります。

キャスト

• - アクセル・ノードマン：ジョン・カサヴェテス（納谷悟朗）
• - トミー・テイラー：シドニー・ポワチエ（田中信夫）
• - チャールズ・マリック：ジャック・ウォーデン（雨森雅司）
• - ルーシー・テイラー：ルビー・ディー

この映画は、単なる娯楽作品ではなく、当時の社会問題に対する鋭い視点を持った作品として評価されています。

もう一度検索