暴走機関車

暴走機関車：アラスカを舞台にした手に汗握る脱出劇

1985年公開の映画『暴走機関車』（原題: Runaway Train）は、アラスカ州を舞台に、脱獄囚と暴走機関車、そして執拗な追跡者による手に汗握るサバイバルを描いたパニックアクション映画です。

物語の中心となるのは、アラスカ州の重犯罪者刑務所に収監されているマニーという囚人です。彼は脱獄を繰り返しており、所長のランケンから目の敵にされています。3年間もの間、懲罰房に閉じ込められていたマニーでしたが、世論の批判と裁判での敗訴を受け、ランケンは渋々彼を普通房に戻します。しかし、ランケンは依然としてマニーを殺害しようと企み、他の囚人を利用しますが、失敗に終わります。

この姑息な企みに激怒したマニーは、彼を慕う囚人バックと共に刑務所からの脱獄を計画します。脱獄後、二人は偶然、操車場に停まっていた4両編成のディーゼル機関車に隠れて乗り込み、アラスカからの脱出を試みます。しかし、発車直後、機関士が心臓発作を起こして倒れてしまい、非常ブレーキがかかったにも関わらず、機関車の出力が全開のまま暴走が始まってしまいます。

二人の脱獄を知ったランケンはヘリコプターで追跡を開始します。一方、暴走機関車の通報を受けた指令所のフランクは、正面衝突を回避するため、対向列車を側線に退避させるなどの対応に追われます。しかし、機関車の速度は増すばかりで、対向列車に衝突。貨物列車の後尾車両は粉砕されます。

機関車が暴走していることに気付いたマニーとバックは、機関士がどこかにいると考えて、しばらくはその場から動こうとしません。しかし、運行部長のマクドナルドは、会社の損失を最小限に抑えるため、機関車を脱線させるようフランクに命令します。フランクは保線係を動員し、手動で転轍器を操作して脱線を試みますが、無人のはずの機関車から警笛が鳴ったことで、方針を転換し、機関車を停車させることにします。

その警笛を聞いたマニーとバックは安堵しますが、警笛を鳴らした女性作業員サラが後方に避難してきます。サラから、機関車が無人であること、非常停止ボタンは先頭車両からしか操作できないこと、そして2両目の機関車の貫通扉が衝突で開かなくなり、先頭車両に辿り着けないことを知ります。

三人は協力して電気連結器を切り離し、後部3両の機関車を止めることに成功しますが、速度は依然として速いままです。2両目の貫通扉をこじ開ける試みも失敗し、最終的にバックが猛スピードで走る機関車の側面を伝って先頭車両へ向かうことになります。しかし、寒さと速度の速さのため、バックは失敗し、マニーと激しく衝突します。サラの仲裁もあり、一触即発の状態は収まりますが、バックはマニーへの失望を露にします。

一方、暴走する機関車が化学工場に突入する危険性があることを知ったマクドナルドは、機関車を廃線に移動させて脱線させる決断を下します。廃線に移動されたことを知ったサラは絶望しますが、そこにランケンがヘリコプターで到着します。ランケンは部下にロープを使って機関車に乗り移らせようとしますが、失敗。マニーは、この隙にランケンを挑発し、割れた窓から先頭車両へ飛び移ります。

飛び移りに失敗し重傷を負いながらも、マニーは先頭車両に辿り着き、ランケンを待ち伏せします。消火器でランケンを気絶させ、彼を拘束します。ランケンは脱線すれば死ぬと忠告しますが、マニーは自由を選ぶことを決意します。しかし、ランケンの「バックと女はどうなる？」との言葉に、マニーはバックとサラを救うため、連結器を切り離します。そして、マニーは暴走を続ける機関車の屋根に上って、吹雪の雪原へと消えていきます。

この映画は、黒澤明、菊島隆三、小國英雄が脚本を執筆した作品を基に制作されましたが、大幅に改稿されており、黒澤明自身も完成した映画を批判したと言われています。また、ジョン・ヴォイトとエリック・ロバーツは、それぞれアカデミー賞にノミネートされました。映画に登場する機関車は、アラスカ鉄道が所有する実在の車両であり、その詳細な解説も興味深い点です。

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