曙ブレーキ工業

曙ブレーキ工業株式会社の歴史と事業内容

曙ブレーキ工業株式会社（英語名: AKEBONO BRAKE INDUSTRY CO., LTD.）は、1929年に設立された日本の自動車部品メーカーです。主に自動車用ブレーキに特化しており、トヨタや日産、アメリカのGMなどの大手自動車メーカーに製品を供給しています。特に2012年にはブレーキパッドの日本とアメリカ市場でのシェアが約40%に達しました。

企業の概要

曙ブレーキは、自動車のブレーキシステムだけでなく、新幹線用のブレーキライニングやキャリパーも製造しており、1964年の新幹線開業以来、非常用ブレーキの供給を続けています。曙ブランドはモータースポーツにも関与しており、ホンダのダウンヒル用マウンテンバイク「RN01」に搭載された専用ディスクブレーキもあります。また、2014年からはF1のマクラーレンチームにブレーキシステムを提供し、トヨタのWECチームにもキャリパーを供給しています。

事業の転機と再生

2005年、主な株主であったアメリカのデルファイがトヨタに株式を譲渡し、これ以降トヨタが筆頭株主となりました。しかし、北米事業の不振が続き、2019年には事業再生ADRを申し立てました。この再生計画では、560億円の債権放棄を行い、いくつかの子会社の閉鎖や規模縮小が盛り込まれました。新しい経営陣も加わり、経営の刷新が図られました。

2020年代に入ると、自動車生産の減少や原材料費の高騰が影響し、再生計画を進める中で資金繰りの困難に直面しました。2023年には、さらなる借入金返済の難しさから金融機関への借り換え要請が始まったことが報告されています。

沿革

曙ブレーキの設立初期は、石綿を利用した摩擦材を製造していました。1941年には、国家の法令に違反したとして事業が一時的に厳しい状況に陥りましたが、その後も成長を続けました。1960年代には社名を曙ブレーキ工業に変更し、東京証券取引所に上場。1970年代以降は、国際展開を進め、北米市場にも進出しました。

2011年にはAD型ディスクブレーキが「重要科学技術史資料登録台帳」に登録され、2012年には北米法人の名称を変更し、メキシコ現地法人の設立など国際的な事業展開を加速しました。2019年には再生ADRを申請したことで、経営の舵取りが再び注目を集めました。

創業者の背景

創業者の納三治は、1873年に岡山県で生まれ、同志社大学を卒業後、アメリカやイギリスでの経験を経て、1929年に曙石綿工業所を設立しました。彼の事業は、自動車の普及とともに成長し、耐熱繊維を使ったブレーキ摩擦材の製造から始まりました。技術革新を通じて、曙ブレーキは常に品質の向上に努め、現在の地位を確立しました。

将来の展望

曙ブレーキ工業は、今後も自動車業界や鉄道におけるブレーキ技術の進化に対応し、持続可能な経営を目指していくことが求められています。市場の動向や技術革新に敏感に反応し、引き続き顧客のニーズに応える製品を提供していくことが期待されます。

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